SlackのCEO、スチュワート・バタフィールドはウォルト・モスバーグのインタビューでメッセージにスレッド化を導入すると述べた。急成長中のSlackに欠けてた最大の要素が、これによって埋められることになる。
バタフィールドがモスバーグに語ったところによると、Slackは数ヶ月前から社内利用にスレッドを導入し、どのバージョンがベストかテストを繰り返していたという。万事順調であれば、次の四半期中にSlackではスレッドがサポートされることになる。
ユーザーインターフェイスがどうなるかなど詳細は明らかにされていない。しかし共同作業に最適のシンプルなUIはSlackのDNAに刻み込まれた特質なので期待してよいだろう。
現在はMicrosoftの傘下のYammer、CitrixのPodio、ConvoAddingなどビジネス向けメッセージ・サービスにはすでにスレッド化が導入されている。この重要な要素が追加されることでSlackは既存の共同作業支援サービスと同じ立場に立つことになる。Slackはますます普及の速度を速めるだろう。現在のSlackは共同作業に適したチャット・ルームに直接メッセージ機能が組み込まれたツールという感がある。一連のコメントがスレッド化されるとなればSlackのレベルは大きくアップし、さまざまな企業で業務のプロセスの不可欠の一部となるはずだ。
最近Slackは極度に簡素化された誰でも使えるインターフェイスとツールという点でシリコンバレーから強い注目を集めている。シンプルなツールがむやみに機能を増やすことは逆効果になる場合があるが、スレッド化は別だ。これは他のエンタープライズ・ツールにはすでに導入されており、ビジネス・ユースで決定的に必要とされる機能だった。
Slackはすでにシリコンバレーでもっともホットなスタートアップの一つであり、2700万人のユーザーを獲得し、最近のベンチャー投資では38億ドルと評価されている。1年前の2015年昨4月には28億ドルの評価額だった。Slackが約束するメリットの一つには、煩雑でノイズの多いメールを置き換えるコミュニケーション機能だけでなく、会話の全履歴を保存し、誰もが簡単に検索できるようになるという点がある。
またSlackはサードパーティーによるエコシステムも育成している。サードパーティー製のボットその他のアプリがこのプラットフォームの上に数多く現れている。Slackでは有力なアプリを作っているいくつかのサードパーティーに直接投資することを計画している。こうした努力がすべて積み重ねられたところにシリコンバレーの投資家がSlackに高い関心を寄せる理由がある。
今回発表されたスレッド化により、Slackはビジネスが使いやすいチャットルームという存在から、本当に総合的なエンタープライズ共同作業サービスに脱皮するものと思われる。Slackがエンタープライズでさらに大規模なユーザーを追加できれば、サービスの規模拡大も一段と加速し、新しいツールや機能を開発し、優れた人材を得るという循環が可能になるはずだ。
〔日本版〕スチュワート・バタフィールドはカナダ生まれの起業家でイギリスのケンブリッジ大学で修士号を取得している。日本ではFlicrの共同創業者として著名。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)