「美容整形は数万円からの投資と、ちょっとした勇気で人生を変えられるもの。でも顔に注射を打ったり、メスを入れたりすることを怖いと思う人は多い。周囲には相談しにくいし、SNSや掲示板ネットでの情報収集にも課題がある。それならば、経験者に話を聞ければいい」——トリビュー代表取締役の毛迪(もう でい)氏はこう語る。同社は10月15日に美容整形の術後経過の記録・投稿アプリ「トリビュー」(iOS/Android)を正式にローンチしたばかり。
トリビューは美容整形の実施前から、術後経過、完成までの写真や体験談を投稿できるアプリだ。ユーザーは手術単位で日記を作成し、施術の内容やクリニック、写真、体験談などを投稿できる。写真や体験談は施術から「○日目」というかたちで経過日数とともに投稿できる。他のユーザーは各投稿に対して「いいね」をしたり、コメントをつけたりできる。
9月からベータ版として一部のユーザーに限定してサービスをローンチ。すでに600枚以上の写真が投稿されている。仲間と繋がりたい投稿者、情報収集のニーズが強い閲覧者ともに、モチベーションが高いそうで、テスト時には(母数は少ないとは言え)、3分の1のユーザーがダイレクトメッセージを送って、投稿者に質問するなどしていたという。
サービスを提供する毛氏は、中国出身で5歳から日本で育った。新卒でリクルートに入社したが、父親、親戚に起業家の多い家庭で育ったため、もともと将来の起業を考えていたという。そこでスタートアップ投資や新規事業コンサルなどを手がけるアーキタイプに転職。約1年後に同社を退社して2017年7月にトリビューを設立した。9月にはアーキタイプのほか、エウレカ共同創業者の赤坂優氏、ペロリ創業者の中川綾太郎氏など9人の個人投資家から合計数千万円の資金を調達している。
実は毛氏自身、10代からレーザー照射や注射といったプチ整形を受けてきたのだという。もちろん施術の程度は人それぞれだが、冒頭で語られた美容整形の課題は毛氏自身が経験してきたものでもある。「病院の口コミや料金補償、(施術後の)腫れや痛みも調べたいとなると、経験者の発信する情報がメインになる」(毛氏)。ちなみにトリビューのメンバーは、フルタイムとパートタイムあわせて5人。エンジニア1人を除いて全員が女性で、美容整形経験者もいるという。
トリビューでは今後、エンジニアを中心に人材を強化。サービスの開発と同時にクリニックへの送客などでのマネタイズを進める。「美容整形は年間2500億円の市場。単価は25万円程度で、売上の30%が広告宣伝費として使われている」(毛氏)。なお中国ではすでにSoYoung Technology(Tencent Holdingsなどが出資)やBeijing Wanmei Creative Technology(Sequoia Capital China Advisorsなどが出資)などが先行して同種のサービスを展開している。