悪質なドロップシッピング業者に苦しめられる、Ripple Rug

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今年見てきたあらゆる製品の中でも、これ以上私の時間と注目に値するものは他にない。Ripple Rugは、Fred RuckelとNatasha Ruckelが作った、ネコ用マットだ。ネコはマットの隙間に入って穴から手を出したりしながら遊び続ける。大きさは35インチ(89 cm)四方で、リサイクルされたPETボトルから作られている。

Ripple Rugがなぜ、それほど興味深いのか?Ruckel夫妻が製品を作った後、同じ商品をeBayで高く売って大儲けする連中が現れたからだ。夫妻のところには高く買わされたことを知って不満をもった顧客からの返品が相次いだ。Ebayで定価より20ドル高い値段をつけAmazon経由で配送する多数の再販業者相手に、Ruckelは中止通告書を毎日送り続けた。

努力もむなしく二人は損害を被り続けた。唯一の方法は、Amazonから商品を引き上げ、毎月4万ドルの売上を失って自ら直販することだった。

夫妻の問題については、Planet MoneyJason Feiferの記事で読むことができる。製品を作ることの裏側で起きていることは実に興味深い。

実際、Ripple Rugは今後インターネットで起こり得ることの典型例といえる。Appleのようなメーカーは、驚くほど入念な監視と大がかりな法律家チームを使って価格をコントロールしている。一方、Ruckelのような小さな作り手は、悪質なeBay再販業者と直面しなければならない。Ripple Rugsを買いたいユーザーが、公式Amazonストアにさえ来てくれれば(検索ですぐに見つかる)、同じ商品をずっと安く買えたし、Ruckelが利益をすべて放出するはめになることもなかった。しかし、消費者は怠惰であり、どこのウェブでもクリックして買っては、後でもっと安いところを見つけて愚痴をこぼすも。誰もが最安値を求めて検索するわけではないのだ。

これはまた、一部の業界 ― 自動車ディーラー、時計メーカー、高級品メーカー等 ― が市場のコントロールにあれほど力を入れている理由でもある。一見無意味なようだが、ひとたびドロップシッピングの予期せぬ結果に気付くと、事態は明らかになってくる。

Ripple Rugはよく頑張った。昔話と同じように、一匹のネコと一枚のマットとすばしこいネコの手が、eBayの巨大な波と必死に戦っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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