愛犬とのライフスタイルに寄り添うブランドを構築するFable

近年の消費者の犬に対する接し方はこれまでの消費者とは大きく異なっており、その違いはこのようにミーム化されるほどになっている。

Bond Vet(ボンドベット)Small Door(スモールドア)など、新たなペット用医療サービスが次々と登場し、Farmer’s Dog(ファーマーズ・ドッグ)Spot & Tango(スポット・アンド・タンゴ)などのペットフード企業も本格的な参入を果たしている。

一方で首輪、リード、クレート、おもちゃなど、ペットの飼い主が都市環境で心穏やかに保つために必要な小物類を販売しているのがFable(フェーブル)である。14Wがリードし、Female Founders Fund(フィーメール・ファウンダーズ・ファンド)とSlow Ventures(スロー・ベンチャーズ)が参加したシリーズAで900万ドル(約10億円)を調達したばかりの同社だが、エコシステムの一環として犬用アクセサリーを作るという計画がいかに賢いものであるかということを、この新資金が証明している。

ニューヨークを拠点とする同スタートアップ。パンデミックに後押しされたペット購買意欲と、ミレニアル世代ならではのペットの扱い方法(息をする生き物に対する真っ当な扱い)に追い風を受けている。

しかしFableでは、ペットだけに焦点を当てるのではなく、ペットを飼う人のことも配慮している。

Fablesの製品はペットの世話をより簡単に、より見た目にも美しくするためにデザインされたものばかりである。

当初は首輪とリーシュから開始し、その後Magic Linkという新タイプのハンズフリーリーシュへと進化した。コーヒーを飲みながら犬の散歩をするというマルチタスクに挑戦したことがある人なら、ハンズフリーリーシュの価値をすぐに理解できるだろう。

画像クレジット:Fable Pets

その後Fableは、犬の世話にまつわるあらゆるユースケースを展開していった。ベッドサイドサイドテーブルにもなるクレート、犬用ボウル、ウンチ袋用ディスペンサー(数カ月間交換不要)、そして重要なのがおもちゃである。

実際、その名も「The Game」と呼ばれるおもちゃが同社のベストセラー商品となっている。私も自分の愛犬のために1つ持っているが、これはまさに神の贈り物である。

底面に重りがついたシリコン製容器には、カップ1杯分のドッグフードやおやつを入れることができる。内部のスライド構造を調整し、おやつの出方の難易度を変更することができるため、愛犬は遊びと狩猟本能の両方を活性化させて長時間夢中になることができる。

パズルやボール類など、おやつを出すおもちゃはこれまでにもあったものの、私の愛犬には簡単すぎたり(5分で終了)安っぽかったり、音がうるさかったりなどで使い物にならなかったのだが、The Gameがこの問題を解決してくれた。

Falconというおもちゃも同社から発売されているが、これは小さな溝からおやつが出るようになっていて、ペットがそれを押さないと開かないようになっている。Falconは単体でも楽しめるが、複数のファルコンを連結してより難しいゲームを作ることも可能だ。

相性の良いアースカラーとジュエルトーンのカラーを揃え、いずれも小さな空間でも映えるデザインになっている。

これがFableの真骨頂なのである。

1つの製品が次の製品につながるのだ。首輪とリードという必需品を購入したら、おそろいのデザインのおもちゃやウンチ袋ディスペンサーを信頼できるブランドから購入するという考えは理にかなう。愛犬がThe Gameを気に入っているからFalconも買ってみてはどうだろう、どうせなら2つ買ってみよう。Falconはクレートの内側に吊り下げることができるから、クレート内で愛犬を刺激して楽しませることもできるし、ついでにおそろいのボウルも買ってみてはどうだろう。

さらにFableはそこで止まらない。ポートフォリオに追加する新たなユースケースだけでなく、既存の製品を強化するさまざまな方法も考えており、兄妹創業者のJeremy Canade(ジェレミー・カネード)氏とソフィー・バカラー(Sophie Bakalar)氏によると、同社は「Crate」のアドオンの販売を計画しているという(現在Crateには飼い主の持ち物を収納する引き出しやコンパートメントがついていない)。

画像クレジット:Fable Pets

また、The Gameの難易度を変えられる、新たな挿入物を検討しているとカネード氏はほのめかしている。

計画的陳腐化は戦略に含まれておらず、むしろ新製品をリリースしながら既存製品を強化するために何を提供できるかという点に同社は注力している。

この戦略はかなり効果的なようだ。

2021年にはCrateのキャンセル待ちが2万人を超え、ホリデーシーズンには5分から10分に1台の頻度でThe Gameを販売した。

全体として前年比約3倍の成長を遂げたという。

また、愛犬にまつわるコンテンツは多くの人が好んで共有してくれるため、それも追い風となっている。Magic LinkやThe Gameのような製品の有機的マーケティングは、宣伝効果として抜群だったと創業者らは話している。

Fableの価格帯は比較的高価で、特にCrateは395ドル(約45000円)。Amazon(アマゾン)やPetCo(ペトコ)では40ドル(約4600円)で手に入るのだが、この価格設定は製品そのものをどう評価するかによって変わってくるとバカラー氏は説明している。例えば、Crateはベッドサイドテーブルでもあるため、West Elm(ウエストエルム)やRestoration Hardware(レストレーション・ハードウェア)の価格と比較すると妥当な価格なのである。

ちなみに、The Gameは55ドル(約6300円)、Magic Linkは65ドル(約7500円)、Waste Bag Holderは35ドル(約4000円)である。

「(競合)製品は、短期間で捨てられるように設計されています」とカネード氏。「私たちは実際に製品をゼロから考え直し、動物と人間の両方のためになるものを作ろうとしています。ペット用品とは、動物と人間両方の世界で同時に存在するものなのですが、誰もそんなものは作っていません。人間のためだけに、犬の消耗に耐えられないような品質グレードで設計しているか、人間のことを考えず、犬のためだけに設計しているかのどちらかなのです」。

画像クレジット:Fable Pets

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(文:Jordan Crook、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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