飼い主が出かけてしまったとき、ペットの犬がどのように過ごしているかを映したホームセキュリティビデオを見たことがあるだろうか。犬好きとしてみれば、両親が遅くまで出かけているティーンエイジャーのように、自分の好きなことをしているんじゃないかと考えたくもなる。しかしどうやらそういうケースは少ないようだ。しょんぼりした様子で、何時間も同じ場所でじっとしているというようなことが多いらしい。あるいはじっとドアを見つめて、飼い主の帰宅を待ち続けている犬も多い様子。どうにも落ち着きをなくしてしまって、カウチのクッションを引き裂いたり、ゴミ箱をめちゃくちゃにしてしまったりすることもある。
犬用のデイケアサービスもあり、これで犬の気持ちを紛らわせることもできるだろう。但し、価格があまりに高額であるケースが多い。たとえばメトロ圏内の大都市あたりでは、1日に45ドル程度もかかってしまう。また、そうしたサービス施設の中で30ないし40匹の知らない犬に囲まれて、愛犬が本当にハッピーなのかどうかは難しいところでもある。
そうした不満ないし不安の声を背景に、DogVacayが「犬のためのAirbnb」を目指すサービスを打ち出してきた。Daycareメニューを新設し、日中の預かりサービスを提供することとしたのだ。DogVacayの主力サービスは、旅行中に犬を預けたいオーナーと、地元のドッグシッターを結びつけるサービスだ。このサービスを拡張して、朝から昼過ぎ、ないし夕方くらいまで預かる保育園風なサービスを提供したわけだ。価格はシッター側で設定するようになっている。ただしCEOのAaron Hirschhornによれば、平均的なデイケアサービスの価格は20ドル程度になるのではないかと言っていた。
Hirschhorn曰く、Uberがタクシーサービスの裾野を広げたように、犬のための安価なデイケアサービスがニーズを掘り起こすことに繋がってほしいと述べている。「現在、犬を対象としたデイケアサービスの市場は10億円規模となっています。しかしこれは潜在規模にくらべればごく一部に過ぎないと考えています。ペットのためのデイケアサービスの存在すら知らず、あるいは簡単に利用するための方法がないために諦めている人も多いと思うのです」とのこと。
UberやAirbnbのように安価なサービスを実現することにも繋がるだろう。自ら施設を運用するのでなく、マーケットプレイスの形で提供することに可能性を感じているのだそうだ。「私たち自らが不動産を保有する必要もありませんし、ドッグシッターを雇用する必要もありません。ニーズを持つ人と、サービスを提供する人を安価な手数料で結びつけようと考えているわけです。かかる費用の大半は、会社運営のためではなく、サービスそれ自体に充てられることとなるわけです」とHirschhornは言う。ちなみにDogVacayは、預ける犬とサービス提供者側の施設にいる犬の双方をカバーする200万ドルの保険も用意している。
このサービスを実現することで、DogVacayの利用者数および売上が大幅にアップさせる可能性もあるだろう。これまでは週末やバケーションでの旅行時のみに利用するサービスであったものが、場合によっては毎日利用するサービスとなったわけだ。サービスの幅を一気に広げることになり、需給バランスを壊してしまうことにはならないのかとも尋ねてみた。Hirschhornはそのような事態にはならないと考えているそうだ。「アメリカおよびカナダで、シッターサービスを提供しようとする人は13万人にものぼります。しかし実際にサービスを提供してもらっているのは2万人に過ぎません。需要を喚起してマーケットが広がることとなっても、シッターの事前審査などを行いつつクオリティを維持できると考えています」とのことだ。DogVacayでDaycareを提供したいと考えている人は、自分でもペットを飼っている専業主婦/主夫や在宅ワーカーが多いらしい。
DogVacayはロサンゼルスに拠点をおくサービスで、これまでに4700万ドルの資金を調達している。フルタイムの従業員数は85名程度となっている。もちろんこの業界にも競争があり、たとえばシアトルのRoverはよく知られている。こちらも同様のサービスを提供しており、これまでに5090万ドルの資金を調達している。
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(翻訳:Maeda, H)