あなたは携帯電話の内部構造をよく知っていると思っているかもしれないが、携帯電話はそれ以上にあなたの精神状態を見ているかもしれない。
昨日Journal of Medical Internet Research誌に発表されたノースウェスタン大学の研究者らの最新研究によると、GPS等のセンサーを使って携帯電話ユーザーに鬱病の兆候があるかどうかを識別できるという。論文は、研究者らがスマートフォンから取得したデータを使用して、被験者の気分の落ち込み度合いを86.5%の精度で推定できたことが書かれている。
同研究では、40人の被験者がPurple Robotと呼ばれるセンサーデータ収集アプリケーションをインストールしたスマートフォンを使用する。アプリは「コンテキストを意識した行動的介入および体験の創成を可能にする、検知およびスクリプティング用アプリケーション」と説明されている。
論文には、グループでどの被験者が落ち込んだ気分を感じているかを、自己申告による質問票を使って判定した手順が詳しく記載されている。
実験の最初に、被験者は年齢性別等の質問、および自己申告による鬱病重症度の測定に通常用いられる患者健康質問票(PHQ-9)等からなるオンライン調査票の記入を求められる。[
]。PHQ-9は0~27のスコアを生成する。スコア5未満は鬱症状なし、5~9は軽度の鬱病、10~14 中等度の鬱病、15~19 中等から重度の鬱病、20以上 重度の鬱病、をそれぞれ表す[ ]。
その後研究者はデータを分析し、ユーザーが電話を使用した頻度、外出した頻度、日常の経路を外れる程度等を追跡した。そして、「鬱病の症状のあるユーザーは地理的移動が少ない傾向にある」という当然ともいえる結果を得た。
論文の結論で、著者の一人でノースウェスタン大学予防医学・行動医学教授のDavid C. Mohrは、鬱病に関連する可能性のある行動因子を「目立たないように」検知することによる患者治療の研究がもたらす意味を考察している。
この研究が明白なプライバシー問題を引き起こすことは確実であり、特にGPS座標とログインデータは機密扱いのメタデータであり、政府が米国民の携帯通話データ一括収集を通じて数年前から「合法的に」吸い上げている。もちろんPurple Robotはさらに精緻なデータを収集することが可能だが、この研究は、人々がどこにいて、どのようにテクノロジーと接しているかという、スマートフォンがかなりよく把握している情報を適切に分析することで何がわかるかをはっきりと示すものだ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)