新型の13インチRetina MacBook ProでForce Touchトラックパッドを試してみた

レティナディスプレイの新しい13インチMacBook Proには、新しいプロセッサとグラフィクスカード、より高速なフラッシュストレージ、長い電池寿命など数々の改良点があるが、中でも特筆すべきは、トラックパッドにAppleの新しいタッチ入力技術Force Touchを採り入れた初のノートブックであることだ。

この新しい技術は、発売前から、次期MacBookの目玉機能と言われていた。発売は4月10日とされているが、13インチのRetina MacBook Proを今、じっくりと時間をかけて試してみることができる。AppleはForce Touchを、今後の全機種のトラックパッドにデフォルトで搭載したいようだ。

まずビデオを見てみよう

[13インチMacBook ProのForce Touchトラックパッド]

メカニカルでないのに、その錯覚を与える

いちばん重要なのは、これまでのAppleの、メカニカル(機械的物理的)なクリックをサポートしているトラックパッドとは違う、ということだ。発表イベントの短時間の経験では、両者の違いがよく分からなかったが、十分に時間をかけて使ってみれば、Force Touchトラックパッドと古いトラックパッドとの違いははっきり分かる。ただし、その新しいトラックパッドも、確かに、メカニカルなクリック感を与えるのだ! クリックは実際には生じていないのだから、一瞬、茫然としてしまう。

Force Touchトラックパッドには、ユーザが3段階にコントロールできる、ソフトウェアによる“クリック効果”があり、それが、これまでのメカニカルモデルのフィジカルで触覚的な感覚の‘なりすまし’を演じている。従来のメカニカルなトラックパッドでは、クリックすると、トラックパッドの面が実際に下に押し下げられるのだが、こちらは本当は微動だにしない。Appleの新しい‘taptic’エンジンが振動モーターの微小振動で動きをシミュレートし、同時にクリック音を鳴らすことによって、人間ユーザは‘なりすまし’クリックを本物のクリックと錯覚するのだ。

その正体が明かされた

Force Touchはノートブックのような小型機の貴重な内部スペースを節約してくれるだけでなく、デベロッパとエンドユーザに新しい機能も提供する。ユーザはその触感的なフィードバックから第二の、より深いプレスを実感(というか錯覚)するが、アプリケーションのデベロッパがそこをとらえて、アプリケーション内で、辞書の語彙の定義とか、方角地図などをその場にポップアップサービスできる。またForce Touchトラックパッドのクリック感は、ユーザの好みでその強弱を調節できる。デベロッパは入力面のその感圧能力を、たとえば手書き入力やお絵かきなどに利用できる。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

今のところ、これらの機能を経験するための最良の方法は、AppleのネイティブアプリPreviewを使ってみることだ。そこでたとえば、自分の署名を書くときや、PDFに注釈を記入するとき、線の太さを変えられることを経験できる。複雑で本格的なお絵かきアプリケーションは体験できないが、少なくとも、デベロッパが感圧性をアプリケーションに利用できることは分かる。iPad用スタイラスWacom Bambooで試しても、結果は良い。今後プロのグラフィクスデザイナーなどは、従来よりもはやい入力作業ができそうだ。

上のビデオでお分かりのように、クリック感のフィードバックは3段階に調節できるが、古典的な明確なクリック感よりも“タップ==クリック”の使用感が好きな人は最低にセットするとよい。しかし、どれにセットしても、その使用感はノンAppleのノートブックとは全然違う。Appleのは、人間を騙して偽(にせ)のクリック感を与えるだけだ。でも、Appleの、フィジカルなトラックパッドとの訣別は、ぼくのこれまでの試用体験からは、利点が多く、欠点はない、と言える。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa