新型コロナに苦しむ人を救う開発者の卵が作ったDevelop for Goodが学生と非営利団体を繋ぐ

2020年は社会的組織の年だった。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが世界と米国を襲い、国や町、村町などさまざまなレベルの行政府のほかに、非営利組織とボランティア団体のパッチワークのような組織が活動を開始し、ウイルスに苦しんでいる人や家族に食べ物や医療品、子どもたちの本や衣類などを配った。

救援のための最大の格差が、おそらくデジタルの分野だろう。非営利団体は今日の小売企業がまさにそうであるように、受益者じゃインターネットに接続する必要がある。しかしテクノロジー方面の人材は高価であり、なかなか見つからない。そうでなくても非営利団体の多くが裕福でない。

このことを痛感したスタンフォード在学中のMary Zhu(メアリー・ズー)氏とAmay Aggarwal(アメイ・アッガルワール)氏は、コンピューターサイエンスやデザイン、経済学などの学部学生有志と、専門的能力を必要としている非営利団体のプロジェクトを結びつけるサービスであるDevelop for Goodを創業した。彼らはパンデミックの急速な拡散が始まった2020年3月にネットワークを立ち上げ、以後その組織は急速に大きくなった。

「学生たちはボランティアとしての意志があるだけでなく、自分たちのプロとしてのスキルを生かせて体験を積む機会を求めている。学生たちと非営利団体のニーズの両方が、このようにたまたま合ったため、Develop for Goodが提供する両者のマッチングが急速に増えた」とズー氏は説明する。

現在のところ、米国の法律で免税などの資格を認められている非営利団体501(c)(3)団体であるDevelop for Goodは、25000あまりのボランティア時間を各種の事業に配分している。有名な501(c)(3)団体としてメディアがよく取り上げるのは、「Ronald McDonald House」「UNICEF」「Native American Rights Fund(NARF)」「Easterseals」「The Nature Conservancy」「Save the Children」「AARP」などの団体だ。ズー、アッガルワール両氏のスタンフォードにおけるネットワークも、今では全米で12あまりの大学が参加している。2人はスタンフォードの同窓会ネットワークを介して各大学の非営利団体に接触したが、事業の評判が高まっていくにつれ相手先の関心や参加も増えてきた。

ボランティアたちが取り組む典型的なプロジェクトは、週5〜10時間で計10週程度のものだ。チームは少なくとも毎週、クライアントの非営利団体と会合を持ち、プロジェクトに求められる方向性を確認する。プロジェクトで多いのは、アプリケーション開発やデータの視覚化、ウェブデザインだ。期間内に完了するプロジェクトが多いが、中にはプロダクト開発のように今後、時間を必要とするものもある。事業の拡大とともにズー、アッガルワール両氏は本格的なメンター部門も設けて、学生たちの仕事を指導し助けている。

2021年1月に始まる次のバッチは、すでに学生たちの応募を受け付けている。締切は1月2日だ。ズー氏らによると、予想ではおよそ800の応募が集まり、最終的には200名のボランティアを32のプロジェクトに割り当てることになるという。応募者の選別は、彼ら学生たちの関心分野と、今後の事業との相性で決まる。試験による競争のようなものはない。現在までDevelop for Goodが手がけたプロジェクトは50件だ。

次のバッチではAmazon Web Servicesが、(米国人としての)第一世代と低所得の学生に奨学金を提供して、ボランティアワークに取り組んだことによる収入減などの経済的な問題への対処を支援する。「前回は、『家庭が貧しいので無給の仕事はできない』といって、途中でいなくなった人たちもいる」とアッガルワール氏はいう。奨学金はそのような学生を助けて、経済的負担を軽減しながらボランティアを続行できるようにする。

アッガルワール氏によると、この事業のボランティアのデベロッパーとデザイナーは、2 / 3が女性であり、1 / 3が第一世代または低所得層だ。

カテゴリー:その他
タグ:新型コロナウイルスボランティア

画像クレジット:Juhari Muhade/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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