新型コロナ禍でも米国の2020年末商戦ネット売上高は20〜30%超増加の見込み

全米小売業協会(NRF)とeMarketer(イーマーケッター)が米国時間11月23日に発表した予想によると、堅調なeコマースの売上により米国の年末商戦の小売支出額は全体的にアップしそうだ。実在店舗の売上の落ち込みでマーケットは影響を受けることが見込まれるが、11月から12月にかけての小売全体の売上高は伸びるとNRFとeMarketerは予想している。

NRFはeMarketerより楽観的な予想を示した。米国の11〜12月の年末商戦の売上高は前年比3.6〜5.2%増、額にして7553〜7667億ドル(約79〜80兆円)に達すると予測している。2019年は前年比4%増の7291億ドル(約76兆円)で、過去5年間の平均成長率は3.5%だった。

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売上高の成長はオンライン販売と他の店舗外販売によるもので、これらは20〜30%増えて2025〜2184億ドル(約21〜23兆円)に達する見込みだ。昨年、2019年の1687億ドル(約18兆円)を上回っている。

NRFの予想のポイントは、消費者が喜んで支出しているということだ。2020年が困難な年だったにもかかわらず、ではなく困難な年だったからこそおそらくそうなのだろうと分析している。

「結局のところ、通常よりも素晴らしいホリデイを自身や家族が過ごすのは当然だ、という心理的な要素があるのでしょう」とNRFのチーフエコノミストであるJack Kleinhenz(ジャック・クラインヘンツ)氏は述べた。「新型コロナウイルスの感染拡大が続けば経済へのリスクはありますが、消費者が不安をものともせず明るい気持ちを持ち続けている限り、彼らは年末商戦でお金を使うでしょう」と付け加えた。

NRFはまた、米国人がパンデミックのために個人サービスや旅行、エンターテインメントといった他の部門での支出を減らし、これが小売支出の増加につながるかもしれないとも記している。

一方、eMarketerは売上高全体についてはさほど楽観的ではない。

同社は年末商戦の小売売上高の前年比の成長率はわずか0.9%と過去最低になると予想している。この成長はeコマース部門によるもので、eコマースは同社が2008年に小売売上高を追跡し始めて以来最高となる35.8%成長を見込んでいる。一方、実在店舗の売上高は4.7%減を予想する。

NRFとeMarketerの予測の不一致は、どのように「小売売上高」を計算しているかに関係している。

eMarketerの予測には、自動車・ガソリンの売上高が含まれるが、外食、旅行、イベントの売上高は含まない。一方、NRFの数字からは自動車・ガソリン、外食の売上高が除かれている。

ただし、NRF、eMarketerともにeコマースの売上高が大幅に増加することについては意見が一致する。NRFはオンライン売上高が第3四半期に前年比36.7%増だったと指摘した。この成長は部分的には早いホリデーショッピングのためだ。2020年は消費者の42%が例年より早くショッピングを開始したことが最近明らかになった。加えて、2020年10月の小売売上高は前年同月に比べて10.6%アップした、とNRFはレポートの中で指摘した。

成長率が20〜30%になるのか、あるいは35.8%になるのかはともかく、eコマースが危機を乗り切っているのは明らかだ。

NRFはまた、季節雇用は近年と同程度になると予想している。小売業者は2019年に季節労働者56万2000人を雇用し、今年は47万5000〜57万5000人の雇用が見込まれる。こうした雇用の動きの一部は、前述した通り早いショッピングのためにすでに10月にみられたとNRFは指摘した。

ブラックフライデーの店舗内ショッピングは従来と同じレベルではないかもしれないが、実在店舗の小売業者は消費者がネットで買い物して自宅で商品を受け取ったり、店舗またはカーブサイドでピックアップしたりしやすくしている。Amazon(アマゾン)はそうではないが、Walmart(ウォルマート)とTarget(ターゲット)は特にeコマース投資の恩恵を受け、年末商戦を前に発表した直近の四半期決算はウォール街の予想をさっくりと上回った。

しかし、サイバーマンデーが売上高を大きく左右するだろう、とeMarketerは話す。

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2020年の5大オンラインショッピングデーの1つであるサイバーマンデーは、eコマース売上高の総額という点においてはブラックフライデーを今回も上回るとeMarketerは話す。ブラックフライデーの売上高102億ドル(約1兆660億円)に対し、サイバーマンデーは128億9000万ドル(約1兆3500億円)になると予想する。しかしeコマース売上高の成長率としてはサンクスギビングデーが前年比49.5%と最も成長する。

画像クレジット:eMarketer

モバイル経由のeコマースに関しては、米国人はブラックフライデーとサイバーマンデーを含む2週間の間にAndroidデバイスのショッピングアプリに1億1000万時間を費やす、と分析会社App Annieは予想した。パンデミックにより1日あたりのモバイル使用時間はすでに4時間20分に伸び、プライムデーの週に米国人はショッピングに6100万時間を費やしたと指摘した。

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(翻訳:Mizoguchi