新型コロナ禍でインドのスタートアップ70%が3カ月以内に資金枯渇か

業界レポートによると、インドのスタートアップの3分の2以上が新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックを乗り越えるために、数週間以内に新たな資金を確保する必要があるという。

インドは世界最大のスタートアップエコシステムを有している国の1つだが、スタートアップの70%は資金がなくなるまでに残された期間、いわゆるキャッシュランウェイは3カ月未満で、年内なんとかもつのは22%だ。業界団体Nasscom(ナスコム)が実施した調査で明らかになった。

調査に参加したスタートアップの中で、今後9カ月以上操業を続けるだけの十分な資金があると答えたのはわずか8%だった。スタートアップの90%が売上高の減少に直面していて、30~40%がオペレーションを一時中止または廃止の過程にあると答えている。

前代未聞の状況に直面し、スタートアップの多くがなんとか生き延びようと大胆な策を取ることを検討している。回答したスタートアップ250社の54%が新規事業に目を向けており、40%がヘルスケアといった成長分野へ参入したいと答えた。

世界第2位のインターネットマーケットプレイスとなっているインドの投資家は、若い企業に新たな小切手を切るのに慎重になっていて、これが資金不足を起こしている。2020年4月の公開レターの中で、いくつかの主要VCファンドが「スタートアップに今後数カ月は新たな資金調達がかなり難しくなるかもしれない」と警告した。

一部のスタートアップにとっては他にも苦戦要因がある。B2Bスタートアップの69%超、中でも小売とフィンテック部門のスタートアップが、クライアントの支払い遅れに直面していると答えた。そうしたスタートアップの半分以上が支払い遅れにより給与削減を余儀なくされ、4分の1が経費削減のためにコストの安いベンダーに切り替えた。

交通・旅行部門のスタートアップも甚大な影響を被っている。調査に参加したスタートアップの78%がビジネスモデルを再考中で現状に合うようプロダクトに変更を加えている。

5月19日に開かれた記者会見で、OYOの幹部は格安ホテルチェーンの同社が事業者と顧客の安全を確保するために取る新たな策を明らかにしている。同社はまた、国や州政府が人々の移動とホテル宿泊を再び許可することを望んでいると述べた。

スタートアップの3分の2以上が規制を緩和し、政府購入を推進する政策を期待していると答えた。また大多数が今後数年間の税の減免を要望した。

インドのスタートアップの3分の2以上が、新型コロナウイルスの影響は最大12カ月続くと考えている(提供:Nasscom)

2020年5月初め、インド政府は失速した経済を復活させようと2660億ドル(約28兆6600億円)の対策を発表した。5月15日に財務大臣のNirmala Sitharaman(ナーマラ・シサラマン)氏はスタートアップもこの救済策の一部を利用できる、と述べている。しかしどのように利用できるようになるのか、詳細は不明だ。

2017年以来、インドのスタートアップエコシステムは順調に成長してきた。2019年にインドのスタートアップは過去最多となる145億ドル(約1兆5600億円)を調達(未訳)した。

「新型コロナウイルスという青天の霹靂の要因で、成長は打撃を受けることになった。新型コロナパンデミックの影響を受けていない国や事業者、暮らしはない。各国の政府が人命を守り、助けるのに懸命になっている一方で、事業者は苦しんでいる。零細事業者やスタートアップが最も深刻な影響を受けている」とNasscomの会長であるDebjani Ghosh(デブジャニ・ゴーシュ)氏はレポートで述べた。

画像クレジット:MONEY SHARMA / AFP / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。