1年前に世界がバーチャルにシフトしたとき、とりわけ1つのサービスに需要が殺到した。電子公証サービスだ。
自宅から出ることなく文書を公証してもらえるというのは突然、贅沢というより必須のものになった。ボストン拠点のNotarize(ノータライズ)の創業者でCEOのPat Kinsel(パット・キンゼル)氏は、より多くの州の人々がリモートオンライン公証(RON)サービスを使えるようにするために、全米で適切な法案が可決されるよう取り組んだ。
その努力は報われた。売上高が前年比600%増だったNotarizeは米国時間3月25日、フィンテック専門のVCファームCanapi VenturesがリードしたシリーズDで1億3000万ドル(約141億円)を調達したと発表した。本ラウンドでのNotarizeの評価額は7億6000万ドル(約829億円)だった。この額は3500万ドル(約38億円)を調達した2020年3月のシリーズC時の3倍だ。最新のラウンドは、以前のラウンドすべての合計額を上回り、2015年の創業以来の累計調達額は2億1300万ドル(約232億円)となった。
本ラウンドには多くの投資家が参加した。Alphabetの独立グロースファンドCapitalG、Citi Ventures、Wells Fargo、True Bridge Capital Partners、そして既存投資家のCamber Creek、Ludlow Ventures、NAR(全米不動産業者協会)のSecond Century Ventures、そしてFifth Wall Venturesなどだ。
Notarizeは「ただの公証企業ではない」と主張する。むしろ(たとえばiBuyerなどの)事業の「ラストマイル」だとCanapi VenturesのパートナーであるNeil Underwood(ニール・アンダーウッド)氏は表現した。
Notarizeはまた「信頼とID承認」を事業所のプロセスにもたらすために進化してきた。
同社は2020年かなりの取引増を目の当たりにし、AdobeやDropbox、Stripe、Zillow Groupといった企業と新たに提携を結んだ。不動産、金融サービス、小売、自動車などの業界からの需要が激増した。
「2020年に世界はデジタル化を急ぎました。オンラインコマースは膨れ上がり、あらゆる産業の事業所は影響を免れるために基本的には1晩でデジタルに移行する必要がありました」とキンゼル氏は話した。「Notarizeはそうした事業所が信頼と利便性を確保しながら安全に取引を完了させられるようにサポートしてきました」。
同社は新たな資金をプラットフォームとプロダクトの拡大、そして「あらゆる規模の企業に対応」できるようにするのに使う計画だ。また、2022年は採用を倍増させる。
「Notarizeは時代遅れのビジネスモデルやテクノロジーをディスラプトしており、多くの企業が対面での取引に代わる安全なデジタル代替手法を提供する必要が出てくるにつれ、特に金融サービス分野で巨大な将来性があります」とアンダーウッド氏は話した。
Notarizeの成功は困難だった2019年に続くものだ。キンゼル氏によると、当時同社は「重要な資金調達」が失敗に終わり、従業員を解雇しなければならなかった。現状とはまったく逆の話だ。
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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi)