新型コロナ需要で空前の成長をみせるInstacartが240億円調達

これまでにない成長をみせているInstacart(インスタカート)は、需要に対応するため新たに資金を調達した。サンフランシスコ拠点の同社は米国6月11日、DST GlobalとGeneral Catalystがリードするラウンドで2億2500万ドル(約240億円)を調達したと発表した。本ラウンドには既存投資家のD1 Capital Partnersも参加し、Instacartのバリュエーションは137億ドル(約1兆4600億円)になった。

Instacartの創業者でCEOのApoorva Mehta(アプオルワ・メフタ)氏の声明によると、調達した資金はショッパーとパートナーに投資し、広告事業と法人事業を打ち切る。そして顧客エクスペリエンスに注力する。また、顧客が時間通りにグローサリーを受け取れるよう、技術・オペレーションのインフラにも投資する。グローサリー注文は対前年比500%増となっている。

今回の調達ラウンドは、武器を所持していなかった黒人のGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏が警察に殺害されたことを受けて人種問題の緊張が高まっている最中に行われた。フロイド氏の死亡から間をおかずして多くのテック企業がこの悲劇について意見を表明した。Instacartは「実行可能な変化をサポートするため」内部チームに100万ドル(約1億円)を投資する、とメフタ氏は先週ツイートした。100万ドルのうち50万ドル(約5000万円)は店舗内のショッパーとチームにあてられる。そして残りはEqual Justice Initiativeのような非営利組織に提供する。

Instacartのショッパーで活動家のVanessa Bain(ヴァネッサ・ベイン)氏の上記ツイートで言及されていた1000万ドル(約10億円)という数字は、ショッパーが引き続き独立請負業者と分類されるよう、無記名投票対策にInstacartが費やした総額だ。

消費者のためにグローサリーを買って届けるというサービスを独立請負業者にかなり頼っているInstacartは、ショッパーを250%近く増やす計画を発表した。同社のサービスは米国とカナダの3万店で利用可能だ。

Y Combinator卒業生のInstacartは、米国の世帯の85%、カナダの世帯70%超が同社のサービスを利用できるとしている。

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックでは、同社のサービスは人々にグローサリーを届けるために命をかけて業務を行ったエッセンシャルワーカーによって、重要なものとなった。何百万という家庭がグローサリーストアに行き健康をリスクにさらすことなくグローサリーを入手するのにInstacartのプラットフォームを利用した。その間、同社は需要に対応するため多くのショッパーを雇用している。売上高が増え同社は初の黒字となった、とThe Informationは報道している。しかし急激すぎる成長の中で、多くのショッパーはInstacartとその運営方法に対し納得できずにいる。

ショッパーは何年間も、少なくとも2016年からInstacartに不満を募らせてきた。2016年に独立請負業者はチップ廃止をめぐってInstacartアプリのボイコットを行った。それ以来、独立請負業者と分類されるフルサービスのショッパーは絶えずInstacartに対し声をあげてきた。昨年10月にショッパーは、賃金アップとチップのデフォルト設定を少なくとも10%にするよう求めて抗議活動を行った。新型コロナパンデミック中には、安全を確保するための備品、報酬、疾病手当ポリシー延長を求めて全米でストを行った。これまでにInstacartは一部変更を加えたが、要求の多くはそのままだ。

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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