場所に縛られずに旅をしながらIT業界で働くデジタルノマド向け医療保険「SafetyWing(セーフティーウイング)」を開発するSafetyWingが350万ドル(約3億7000万円)をシードラウンドで調達した。引受先はリードのbyFounders、そしてCredit Ease Fintech FundやDGインキュベーションを含む。
SafetyWingは2018年冬季のY Combinator出身のスタートアップだ。同社が提供するSafetyWingは月額(4週間、28日)37ドル(米国では68ドル)の保険料で、北朝鮮などの一部の国を除いた約180ヵ国で使える医療保険を提供する。これは年齢が18歳から39歳の場合であり、他の年齢層は値段が変わってくる。東京海上と提携し、プランを運営している。
「デジタルノマド向け」のため、すでに旅の途中でもSafetyWingに登録することができ、サブスクのように、終了日を設定しない限りは28日ごとに更新されていく仕組みだ。90日ごとに、母国でも30日間(米国では15日間)は保険が適応され、生後14日から10歳までの子供も、追加料金なしで、大人1人につき子供1人、家族単位だと子供2人まで、追加コストなしでSafetyWingがカバーする。
TechCrunch Japanでは4月にSafetyWingのCEO、Sondre Rasch氏をサンフランシスコで取材したが、その際に同氏は「5年から7年ほど前からデジタルノマドの数は急速に増えてきた」と話した。SafetyWingが算出した数字によると、この世界には「2500万人ほど」のデジタルノマドが存在し、2035年には10億人ものデジタルノマドが存在するというアナリシスもある。
Rasch氏はビデオチャット、Slack、Dropbox、Google Docsなどのツールの台頭が、デジタルノマドたちのフレキシブルなワークスタイルを可能にしたと述べていた。今後、ホテルを賃貸できる「Anyplace」や、日本でいうところの「ADDress」や「OYO LIFE」のようなサービスの増加に伴い、デジタルノマドというワークおよびライフスタイルという選択肢はより多くの人に選ばれるようになるのではないだろうか。
TechCrunchのSteve O’Hear記者の取材に対しRasch氏は、競合は多くないものの、オーストラリアのWorld Nomadsは「類似した」サービスを提供していると説明した。「最大の違いは、我々のサービスがデジタルノマドやリモートワーカーに特化したものだということだ」(Rasch氏)
Rasch氏は以前、新プロダクトである「グローバルセーフティネットをオンラインで実現する」ためのアドオンを2019年中にリリースする予定だと明かしていた。SafetyWingはフルタイムのリモートワーカーを世界中に抱えており、同社オフィスが存在しない国で働く社員にも福利厚生を充分に与えたいが、Rasch氏いわく「あまり良いオプションがない」。新プロダクトは同様な悩みを抱える企業に向けてのものとなるようだ。