アイデアはある、金もある、後はエンジニアを集めて形にすれば、世の中を変えることができる!
まあ、そういうことも確かにあるかもしれない。でも、私自身はハッカーや、ハッカー的な起業家たちがスタートアップ文化を牽引する重要な役割を果たしていると信じている。アイデアや仕様書があって、それを実装するだけなのがエンジニア。というような考えでテックなイノベーションが起こるようには思えない。GoogleやFacebook、TwitterにしろDropboxにせよ、創業者らがハードコアなテクノロジストであり、ハッカーだったからこそ優れたプロダクトを生み出し、今の規模にスケールさせることができたのではないかと思う。ザッカーバーグは2008年ごろ、大陸横断のメモリクラスタ同期のためにmemcachedというキャッシュサーバのUDP対応をやったし(自社のハックを楽しそうに語る2008年のザッカーバーグの動画)、Twitterは月単位という時系列によるデータベースのシャーディング(分割)をやることでスケーラビリティを確保した。Dropboxを作ったドリュー・ハウストンはPythonの中間コードを処理系に結合し、それをクライアントアプリとして配布することでクロスプラットフォームの開発・メンテの容易さと、開発速度の向上を実現した。LINEやWhatsAppはメッセージのルーティングにErlangを使っているが、ErlangはJavaやObjective-C、JavaScriptといった主流のプログラミング言語とは文法もパラダイムも異なる、かなり異質の「エソテリック」(奥義っぽい)なプログラミング言語で、こうした言語を使いこなす魔法使い的なハッカーが大規模サービスを支えていたりする。大規模にスケールするサービスで機能開発をハイペースで続けるのに必要なのは、「もっと投資してサーバをぶち込め」というようなことではなく、前人未到の領域で、必要な技術やツールを使って設計や実装ができるハッカーの力なのだ。
もちろん、技術力だけあってもダメだよというのは、そうだと思うのだが、どうも日本のスタートアップ界隈ではエンジニアにフォーカスが当たる機会が少ないように感じている。スタートアップコミュニティとエンジニアコミュニティの間に大きな隔たりがあるように思うのは私だけだろうか? もっとエンジニアとビジネスマインドのある起業家が出会う場所があればいいのに、と思うのだ。
と、そんな思いもあって、今年のTechCrunch Tokyo 2013では11月11日、12日の2日間を通して、小会場のほうでハッカソンを併せて開催する予定だ。昨年からイベントを共催させていただいているリクルートのMashup Awards 9のサブイベントという位置付けにはなるが、エンジニア、デザイナ、学生、腕試しをしたい起業家の皆さんにご参加いただければと思う。ハッカソン初日にチームビルディングタイムを設けるので、チームじゃなく、個人の参加でも歓迎だ。取材やキャリアチェンジのキッカケを作りたいスタートアップの方々も参加を検討してほしい。
ハッカソン開催中には、グロースハッカーやiOSハッカーによる講演なども予定しているほか、まだ正式決定ではないけれど、今回のイベントのために来日しているスピーカーも一部参加してくれそうだ。
そして賞金もある。最終的なプロダクトの発表後には「MA9部門賞 TechCrunch賞」として賞金30万円と、イベント2日目の11月12日に同会場で開催するMashup Awards 9のファイナルステージへの進出権も提供させていただく。協賛企業から提供されるAPIやインフラを駆使して、クールなプロダクトを作りにチャレンジしてほしい。
ところで、なぜTechCrunchがハッカソン? と思う人もいるかもしれないが、上の写真にあるように、本家TechCrunchのイベントでは実は毎年かなり大規模なハッカソンを実施していたりする。例えば今年9月のサンフランシスコのイベントでも、なんと300チーム近くが参加していて、1チーム60秒のプレゼンだけでも発表が終わるのに全部で5時間以上もかかっていた。TechCrunch Tokyo 2013で、そうした規模で実現するのは難しいかもしれないけれども、世界を変えるプロダクトの多くはほんの数人の手で作られてきたというのが、この業界の面白いところ。力試しや、経験、ネットワーキングの場として是非参加してみてほしい。
なお、一般参加のチケット販売の早割は10月31日まで行っているほか、すでに披露できるプロダクトを持っているスタートアップの方は、スタートアップバトルへの応募や、スタートアップバトルのブース出展を検討してみてほしい。
イベント名称
TechCrunch Tokyo Hackathon 2013
日時
11月11日月曜日 11時〜20時
11月12日火曜日 9時〜17時
場所
TechCrunch Tokyo 2013会場内(ベルサール渋谷ファースト)
参加費
無料(チケットの申し込みは必要です)
定員
100名(定員に達し次第申し込みを締め切らせていただきます)
ルール
指定APIを使いサービス開発を行う。2日目に1チーム5分間で発表を行う。アウトプットは必ずデモを含めることとする。
賞
- MA9部門賞TechCrunch賞 30万円 + Mashup Awards 9 FinalStage進出権
- その他API提供企業による副賞
API提供企業の例
タイムテーブル
11月11日(月曜日)
11:00-11:10:開会宣言、ルール説明
11:10-11:20:サポーター紹介(API企業、クラウド環境提供企業などの紹介)
11:20-12:30:チームビルディングタイム(自己紹介、チームビルド。チームで参加している場合は、そのままアイデアソンへ)
12:30-13:30:ランチミーティング(チームごとにアイデアソン)
13:30-14:30:アイデア宣言(何を作るかチームごとに宣言)
14:30-20:00:ハッカソン
11月12日(火曜日)
9:00-9:10:開会宣言、ルール説明
9:10-9:20:サポーター紹介(API企業、クラウド環境提供企業などの紹介)
9:30-15:00:ハッカソン
15:30-16:30:成果発表
16:30-17:00:結果発表、受賞
TechCrunch Tokyo Hackathon 2013参加の申し込みは、こちらから→