日本の実名旅行記サイト「Compathy」が増資、行きたい場所から旅行プランを自動作成へ

実名制をベースとした旅行記投稿サービス「Compathy(コンパシー)」を運営するワンダーラストは20日、インキュベイトファンドとリクルートホールディングス投資子会社を引受先とする第三者割当増資を実施した。調達額は非公表だが、関係者によれば「数千万円規模」。今後はクチコミをもとに旅行を計画する機能を実装したり、旅先の現地に住むユーザーと交流する仕組みを取り入れることで、「TripAdvisor」「4travel」などの旅行クチコミサイトとの差別化を図る。

Compathyは、Facebookアカウントでログインし、PCから写真をアップロードするだけで旅行記を作成できるサービス。アップロードされた写真の撮影日時や場所の情報を利用することで、旅のルートや時間軸を「ログブック」に自動的にまとめ、SNS上の友人やその他ユーザと共有することが可能となっている。他のユーザーの投稿に「行ってみたい」ボタンを押すとマイページ上のGoogleマップに反映される。今後は、行ってみたいリストに登録したスポットをもとに、国や都市、旅の目的、移動距離などの条件を踏まえて、自動的に旅行プランを作成できる機能を実装する予定だ。

実名制のメリットとしては、クチコミの信頼性が増すだけでなく、投稿者が既婚・未婚であるか、家族構成はどうかといったことがわかるため、旅行計画時の参考にしやすいと、ワンダーラスト代表取締役社長の堀江健太郎氏は話す。とはいえ、旅行先で撮影した写真をPCに取り込んでアップロードするのは「ハードルが高いのが現状」。そこで今回調達した資金をもとにスマホアプリを夏までに開発。撮影したその場で旅行記を投稿できるようにしたり、写真を元に自動でムービーを作成する機能を提供する。

収益面では、ユーザーが作成した旅行プランに対して、旅行代理店や旅行予約サイトから広告を掲載してもらい、送客に応じて手数料を徴収するビジネスモデルを構築する。旅行代理店としては、行き先を決めた相手に絞って広告を掲載できるため、広告費のROI(費用対効果)を最大化できるのがメリット。旅行者としても、広告費が削減される分は旅行商品の価格に転嫁されるため、これまで以上に格安の商品を購入できるのだという。「これまでネット上に存在しなかった『旅の予定』をベースにマネタイズしていきたい」(堀江氏)。

現時点では実名ベースで旅行記を投稿するにとどまっているが、将来的には海外展開も視野に入れている。具体的には、現地のユーザーや観光協会がオススメスポットを投稿できるようにすることで、「現地の人だからこそわかる質の高い情報」を充実させたいという。また、現地のユーザーに旅行プランを作成してもらったり、現地でのガイドを依頼する「Meetrip」「Voyagin」のようなサービスも盛り込んでいく。

3月19日には、5月31日までにCompathyに登録したユーザー全員にAirbnbを使った宿泊料5000円を割り引くクーポンを提供するキャンペーンを開始している。


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TechCrunch Japan

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