仮想通貨「NEM」の不正流出事件が起こり、仮想通貨の売買や日本円の出金を停止していた仮想通貨取引所「Coincheck」。サービスを運営するコインチェックは2月13日、日本円の出金を再開した。
コインチェックでは同日20時から本社が入居するビルのエントランスで会見を実施。同社取締役COOの大塚雄介氏が現状を説明した。なお、同日午後には複数メディアで同社が会見をするとの報道があったが、報道後も同社広報は「会見は行わない」としていた。
冒頭、大塚氏は「まだすべて話をするわけではなく、後日改めてその機会を設けさせていただきたいと思う」とした上で、現時点での同社の状況を説明した。
コインチェックでは2月13日付けで金融庁の業務改善命令に対して、報告書を提出。「継続して事業をさせて頂くところを一歩一歩、改善を進めている。まず一歩目だが、日本円の出金を再開した」と説明。すでに13日だけで401億円の出金を終了しているという。また明日以降についても、順次出金を行うという。すでに発表済みのNEMに関する補償については「ある程度の目処はついている」としたものの、時期や詳細については「確定したらご報告する」とするにとどめた。
現時点ではいまだ中止している仮想通貨の送金や売買に関しては、外部のセキュリティ専門会社と安全を確認した後に再開するという。ただしこちらに関しても具体的なスケジュールは明示せず、「明確に決まり次第、ちゃんとご報告をさせていただく」とした。
大塚氏かra
説明があったあと、報道陣との質疑応答が行われた。以下はその概要だ。なお会見は「後ろの予定が詰まっている」(同社)とのことで20時20分で終了した。最後に報道陣が投げた「被害者に対してひと言」という質問に回答することなく、大塚氏はその場を去っている。
–業務改善報告書の内容、金融庁とのやり取りについて
お答えすることができないかたちになっている。(記者からの話せる範囲で、という質問に対しても)ちょっとお答えできない。すみません。基本的には今、進めている最中。内容についても、プレスリリースには出しているが、改善報告書の項目の中身に関しては答えられない。
–再発防止策において、不正監視の回数増加やコールドウォレットの扱いについて
今の時点でお答えできない
–経営体制や第三者委員会の設置について
(前の質問と)一緒で、そこについてもお答えできることない
–補償のめどについて
改善計画については、お答えできない。補償のめどなど日付については正式に決まったら。補償金額と数量については報告していることがすべて。(残りの入金額については)今時点ではお答えできない。(ユーザーから返金依頼があれば返せるかについては)はい。
–NEMの補償時期がはっきりしない理由について
資金自体はすでにある。そこの調整を行って、問題ないことを1つ1つ確認していく。補償の資金となる現金は手当できている。(財務状況を金融庁に報告しているかについて)金融庁とのやり取りに関しては話せない。
–NEMの補償時期が言えないと不信感がある
おっしゃることはまさにそうだが、お答えできない。1つずつ確認しているので、確認できれば報告させて頂く。
–顧客資産と会社資産を分別した上で返せるということか
はい。もともと分別管理が前提。今回の日本円の出金も、預かった資金から出している。
(補償の資金についても)自己の資金から。(他の仮想通貨も分別管理しているかについては)、はい。
–そもそも金融庁の仮想通貨交換業者登録が遅れた理由について
事件と関係がないのでお答えしかねる。
–売買機会を逸したユーザーからの損害賠償の動きについて
売買については今しばらくお待ち頂く。(補償については)まだ確認できていないのでお答えしかねる。
–事業者登録ができる確信があるか
はい。基本的には事業を継続する。登録もさせて頂く。(登録ができなければ)違法になるので事業ができないと思う。
–NEM流出からの2週間で決まったことは
外部の専門家にセキュリティの確認をして、日本円の出金ができるようになった。加えて仮想通貨売買も前に進めている。(解決までの時間について)ある程度の見通しはついているが、正式にはまだ。目処についてもお伝えできない。私たちのシステムとして安全に送金できるのかどうかを確認中。一番はユーザーの資産が手元に戻る事。
–だいたいでいいので目処を示せないのか
見通しとズレがないようにしてから正式に報告する。
–なぜ代表取締役社長の和田晃一良氏はいないのか。
私が責任を持っているから。(和田氏は)今日は業務改善命令の報告をしていた。今もオフィスにおり、サービス改善に関わっている。
–コインチェックの現預金について
お答えしかねる。(売上高や営業利益、純利益なども)お答えは控える。(開示の意向について)現時点では、ない。
–経営責任について
繰り返しになってしまうが、業務改善命令の中身に関してお答えできない。(責任の取り方については)今ちゃんと考えているところ。正式な内容がきまれば報告する。(経営陣の辞める意向については)そこらへんも含めて中身が決まれば報告する。
–出金停止、業務停止の是非について
ユーザーの資産を一番に考えて、これ以上被害が出ないためにも妥当な判断だと思っている。
–破産申請の可能性について
破産するつもりはなく、事業継続の意思がある。ある程度の見通しも立っている。事業の継続と金融庁への登録を継続する。
–不正アクセスの原因究明について
報告の内容になるため話せない。(ユーザーへのアナウンスについて)目処が立ち次第報告する。
–不正流出したNEMが換金されているという話について
捜査関係の話はできない。