暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.8.30~9.5)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年8月30日~9月5日の情報をまとめた。

日本セキュリティトークン協会(JSTA)が、セキュリティトークン活用の新マーケット開拓アイデアを募集

一般社団法人日本セキュリティトークン協会(JSTA)は9月2日、セキュリティトークンを活用したイノベーションの追求を目的に、ビジネスアイデアコンテスト「セキュリティトークンで新たなマーケットを拓け!」の開催を発表した。セキュリティトークンならではの特色を活かした新しいビジネスのアイデアを広く募集する。最優秀賞には賞金50万円と事業化支援金50万円、優秀賞とアイデア賞にはそれぞれ賞金20万円が授与される。募集期間は10月30日まで。

日本セキュリティトークン協会(JSTA)が、セキュリティトークン活用の新マーケット開拓アイデアを募集

同コンテストは、日本国内におけるセキュリティトークンマーケットの裾野を広げることを目的に、セキュリティトークンを活用した新しいビジネスアイデアを募集する。アイデアには、ビジョン・解決したい課題、新規性が必須項目として求められる。「新しいマーケットを拓く」という観点から、システム・法規制・税制面での実現可能性よりも、創造性を重視して審査される。

セキュリティトークンとは、ブロックチェーン上で発行されるデジタルトークンのうち、有価証券その他の資産や価値の裏付けを有するものを指す。2020年5月1日に暗号資産についての新たな法規制である改正資金決済法および改正金融商品取引法(金商法)が施行されて、「電子記録移転権利」という考え方が新設。基本的にブロックチェーンなどで電子的に権利が移転できるものは、第一項有価証券という扱いになったことから、株式などと同じ類型となり、金商法によって規制される対象となった(例外もあり)。

ちなみにJSTAでは、金商法の適用のない資産などに対する権利をトークン化したもの、および当該権利を表示するトークンもまた、広くセキュリティトークンの定義に含むという。

セキュリティトークンは、既存の証券化ビジネスを変革するのみならず、新たな金融商品を生み出す可能性があることから、同コンテストでは、広く一般からアイデアを募集し、そこを狙う。コンテスト入賞者には賞金のほか、JSTA会員との協業検討の機会が提供される予定になっている。

コンテストの応募資格は、同コンテストのコンセプトに共感できれば、個人・法人・グループを問わず、誰でも応募が可能。応募の形式は自由。募集期間は10月30日まで。11月13日に書類審査による一次審査の結果発表が行われ、11月27日に二次審査となる非公開によるピッチ会が開催され、同日結果発表となる。

  • 募集期間: 10月30日まで
  • 応募資格: コンテストのコンセプトに共感いただける方。個人・法人・グループでの応募可、応募形式は自由
  • 必須項目: ビジョン・解決したい課題、アイデアの新規性、セキュリティトークンならではの特色
  • 賞金・入賞特典: 最優秀賞(賞金50万円+事業化支援金50万円)、優秀賞(20万円)、アイデア賞(20万円)、協賛企業賞

JSTAは、セキュリティトークンの知見を集約し、セキュリティトークンエコシステムの健全な発展を推進する非営利団体。セキュリティトークンの技術、制度、ビジネスに関して、調査、研究、普及・啓発活動などを通じて、セキュリティトークンの品質向上を図るなど、日本経済の健全な発展に貢献することを目的に活動をする。

協会加盟企業には、不動産会社から有名コンサルティングファーム、会計ファーム、ブロックチェーン企業、フィンテック企業まで、幅広い分野からの参加が特徴である。

国際教育研究コンソーシアム(RECSIE)が「オンライン学修歴証明ネットワーク」を開始

一般社団法人国際教育研究コンソーシアム(RECSIE)は9月3日、アイルランドに拠点を置くDigitaryと業務提携し、「オンライン学修歴証明ネットワーク」サービスの提供開始を発表した

RECSIEは、日本の大学などの教育機関が卒業証明書などの学修歴証明書をデジタル化し、オンライン上で発行するために、Digitaryと共同でデジタル学修歴証明書の実証実験を9月より開始。2021年の本格運用を目指す。

Digitaryは、学修歴証明書の認証、共有、検証のためのオンラインプラットフォームサービスを提供する。アイルランド、イギリス、イタリア、オーストラリア、インド、カナダにオフィスを構えるDigitaryのプラットフォームは、現在135カ国以上の組織で利用され、何百万人もの学習者に検証可能なデジタル認証証明書として利用されているという。

RECSIEの「オンライン学修歴証明ネットワーク」サービスでは、就職活動や海外留学などで必要とされる大学卒業証明などの学修歴証明書をオンライン取得できるようになる。証明書および検証のためのリンクURLを提出先に送付可能にするデジタルソリューションプラットフォームを提供する。

国際教育研究コンソーシアム(RECSIE)が「オンライン学修歴証明ネットワーク」を開始同サービスの運用により、世界中のどこからでもPCやタブレット端末、スマートフォンを使用し、オンラインでデジタル認証された卒業証明書や成績証明書にアクセス可能になる。日本国内のみならず海外の留学先や就職先にも、検証可能な公式証明書としてデジタル学修歴証明書を送付できるようになる。また、日本の高等教育機関はセキュアなグローバルネットワークを通じて、国内外の学生からの証明書発行依頼を自動化処理することが可能になる。

現在、「世界市民のための電子学生データ・エコシステム」を目的とし、世界30ヵ国が加盟する国際機関フローニンゲン宣言ネットワークが設立され、世界的に学修歴証明書のネットワークを相互接続するなどの国際協調が活発化している。RECSIEは、2020年初頭にフローニンゲン宣言ネットワークに参加、日本の高等教育機関の証明書類のデジタル化に取り組んでいる。「オンライン学修歴証明ネットワーク」サービスの構築は、その一環となる。

暗号資産取引所bitFlyerがアンケート調査、2020年上半期に口座開設した顧客は日米欧共通で20代がメインに

暗号資産取引所「bitFlyer」は、同取引所の日本国内顧客を対象にアンケート調査を実施。2020年上半期に同社にて口座開設した顧客は20代が最も多くを占めていたなど、暗号資産(仮想通貨)にまつわるアンケート調査の結果を公開した。調査期間は2020年8月7日~8月24日。調査対象は2020年1月~6月に口座開設を行った顧客(日本国内)539名。調査方法はウェブアンケート調査。

2020年上半期に口座開設した顧客のうち、20代が全体の36%を占める

bitFlyerグループが事業を展開する米国・欧州連合では20代の口座開設者が最も多くなっており、今回の日本国内アンケート調査でも同様な結果となった。2020年上半期に口座開設した顧客は、20代が全体の36%を占め最も多く、30代が26%と続き、20代・30代だけで62%と過半数を超す結果になっている。

また、同社は2018年上半期と2020年上半期を比較。2018年上半期は30代(32%)・40代(28%)がメインだったが、2020年上半期には30代(26%)・40代(20%)と推移。

一方2020年上半期の20代の顧客割合は、2018年上半期の18%から、2倍以上の36%に増加した。これは日本に限らず、欧米の地域すべてに共通する傾向であるという。

暗号資産取引所bitFlyerがアンケート調査、2020年上半期に口座開設した顧客は日米欧共通で20代がメインに「将来性がありそうだから」「長中期的な運用に向いていそうだから」との回答が多い傾向に

2020年1月~6月に口座開設を行った顧客は、「暗号資産を始めようと思った理由・目的」として、半数近くが「将来性がありそうだから」と回答しており、これが最も多かったという。複数回答が可能な同質問では、「少額から始められる」「勉強・経験になるから」が2位、3位の回答であることも興味深い。

さらには「短期的な利益が得られそうだから」よりも「長中期的な運用に向いていそうだから」の回答の方が上回っていることから、若い世代は暗号資産を短期の投資・投機というよりも将来的な可能性に期待する投資対象と見ているとともに、勉強・経験しておくべきものとして暗号資産を捉えているのも面白い。

暗号資産取引所bitFlyerがアンケート調査、2020年上半期に口座開設した顧客は日米欧共通で20代がメインにその傾向は、「最も期待している暗号資産は?」の質問にも見て取れる。顧客の6割はビットコイン(BTC)を選択。続いては、DeFi(分散型金融)の流行を背景に注目されるイーサリアム(ETH)が2位となった。また、同取引所が2019年12月より取り扱っているXRP(Ripple)、8月より取り扱いを開始したNEM(XEM)、ベーシックアテンショントーク(BAT)がランキング上位に続く。

暗号資産取引所bitFlyerがアンケート調査、2020年上半期に口座開設した顧客は日米欧共通で20代がメインに

暗号資産・ブロックチェーンを取り巻く社会の変化が、取引所における顧客の傾向にも影響することがわかるアンケート調査結果になったのではないか。今後も、その変化には注目していきたい。

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カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:仮想通貨 / 暗号資産(用語)

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TechCrunch Japan

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