最短90日で新製品誕生、ハードウェアスタートアップのモノづくりを支援するプラットフォーム「Gembah」

Gembah(ゲンバー)のミッションステートメントは、驚くほどシンプルだ。オースティンを拠点とするこの会社は「新製品を生み出すための参入障壁を大幅に下げ、製品イノベーションを民主化する」ことを目指しているという。少なくともその点では、クラウドファンディングからアディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)まで、過去10年ほどの間に登場したさまざまなスタートアップの取り組みとそれほど違わない。

同社が提供するのは、製品づくりのプロセスを通してユーザーを手引きするために設計されたプラットフォーム / マーケットプレイスで「最短90日」で成果が出ることを約束している。このフォーラムは中小企業と工場、サプライチェーンの専門家、デザイナー、エンジニアなどを結びつけ、プロセスの迅速化を支援する。ハードウェアのスタートアップ企業を起ち上げようとした経験のある人なら誰でも知っていることだが、このように新たな製品を世に出すためのプロセスを手際よく運ぶことは非常に難しい。

Gembahはそのビジョンを加速させるために、シリーズAラウンドで1100万ドル(約12億1400万円)の資金を調達した。この投資ラウンドは、地元のアーリーステージ専門ベンチャーキャピタルであるATX Venture Partners(ATXベンチャー・パートナーズ)が主導し、Silverton(シルバートン)、Flexport(フレックスポート)、Brett Hurt(ブレット・ハート)氏、Jim Curry(ジム・カリー)氏、Dan Graham(ダン・グラハム)氏が参加した。

画像クレジット:Gembah

これは、2020年4月にSilvertonが主導して328万ドル(約3億6200万円)を調達したシードラウンドに続くもので、同社の資金調達総額は1475万ドル(約16億2800万円)に達している。

Gembahによると、昨今の新型コロナウイルス感染流行は、同社のビジネスモデルにとってむしろ好材料になったという。ハードウェアのスタートアップ企業が、従来の販売チャネルよりも自宅からアクセスしやすいオンライン販売モデルに目を向けるようになったからだ。同社によると、2020年には収益が500%増加し、2021年は3倍になる見込みだという。この1年半の間に業界に影響を与えたいくつかの大規模なサプライチェーンの問題に直面しながらも、見事な成長を遂げている。

現在、Gembahは300のアクティブな顧客を抱えているが、まだ収益性を達成できていないため、今回のラウンドによる資金調達を行った。「当社の顧客のほとんどがeコマース企業であるため、eコマースの加速的な成長の恩恵を受けています」と、同社の共同創業者でCEOを務めるHenrik Johansson(ヘンリック・ヨハンソン)氏は、TechCrunchに語っている。「サプライチェーンからの影響はある程度受けていますが、グローバルなサプライチェーンがより複雑になり、多くの企業が中国以外の国へ多角化を図ろうとすれば、その変化を乗り越えるための支援が必要になります。Gembahはその移行を支援することができます」。

今回のラウンドで調達した資金は、同社のエンジニアリングチームの増強に充てるという。Gembahは現在、米国で55名、アジアやメキシコなどその他の地域で19名の従業員を擁している。新たに増やす人員は、マーケットプレイス、サプライチェーンのワークフロー、機械学習能力の向上に重点的に取り組むことになる。また、同社はグローバルなネットワークを拡大し、マーケティングやUI / UXの分野でも雇用を進めていく予定だという。

「Gembahはグローバルなeコマースの成長を利用して企業を支援しようとする真のイノベーターです」と、ATX Venture PartnersのChris Shonk(クリス・ションク)氏は声明で述べている。「Gembahのマーケットプレイスは、まったく新しい血を持つクリエイターの市場参入を可能にすることで、実質的に限りない起業家精神の解放を約束するものです」。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Gembah資金調達eコマースクリエイター

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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