自動車のビッグデータ解析ビジネスを展開するSmartDriveは2月5日、毎月定額制のコネクテッドカー・レンタルサービス「SmartDrive CARS」を開始すると発表した。
SmartDriveは、自動車に取り付ける専用デバイスから50〜60項目にわたるデータを取得・解析し、それをもとに自動車保険の開発や走行データ可視化サービスなどを展開するスタートアップだ。そのようなデータを利用して、安全運転の度合いによって掛け金が変動するテレマティクス保険をアクサ損害保険と共同で開発するなどの実績がある。
SmartDriveが今回発表したSmartDrive CARS(以下、CARS)では、同社が開発したデータ取得用デバイスを新車に標準搭載し、それを月々定額でユーザーに貸し出す。毎月の利用料には税金、自賠責保険料、メンテナンス費などがパックとして含まれているため、ユーザーは余計な心配をせずに“移動”というサービスだけを享受することができる。
利用料金は車種にもよるが、安いもので月額2万円程度。具体例としては、600万円ほどのランドクルーザーを1年間借りる場合には月額約7万円の料金で利用可能だという。
所有する“モノ”ではなく“移動サービス”としてクルマを捉える動きは加速している。トヨタ自動車代表取締役の豊田章男氏はCES 2018の壇上で、トヨタが今後「モビリティサービス・カンパニー」へ生まれ変わることを明言した。2017年12月にはトヨタモビリティーサービスという名の新会社が設立されていることからも、トヨタがこの変革に本気で取り組んでいることが伺える。
また、2018年1月には定額制のマイカー賃貸サービス「カルモ」がリリースするなど、すでにこの分野には新しいプレイヤーが続々と誕生しつつある。そんなモビリティーサービス市場へ新たに参入するSmartDrive。彼らの攻めの一手は、データだ。
SmartDriveは既存サービスの「DriveOps」などを通じて、自動車データの収集と解析に関する知見を貯めてきた。同社がこれまでに解析したクルマは2万台を超える。
その強みを生かし、CARSにはデータを貯めれば貯めるほどサービスがより便利に、よりお得になる仕組みが盛り込まれている。
同サービスでは、自動で診断される安全運転スコアに応じてポイントが付与され、溜まったポイントは他のショッピングポイントなどに交換することができる。また、安全運転を続けることで月々の利用料金が安くなるなどの仕組みも検討中だという。
将来的には、クルマの位置情報を利用することで、ガソリンスタンドに入ると自動的にクーポンが届くなど、データとリアル店舗を組み合わせた取り組みなどにも期待できそうだ。
「あるショッピングセンターで買い物をしなくなったユーザーが、その代わりにいったいどこで買い物をしているのかなど、クルマから取得できるデータには大きな価値がある。そのようなデータを販売し、ユーザーに還元することで月額利用料がどんどん安くなるモデルを作る。最終的には、クルマを完全無料で手に入れる時代が来るかもしれない。クルマを入手することの対価として、お金ではなくデータを払うという時代です」(北川氏)
SmartDriveはCARSを2018年春にリリース予定で、選べる車種やそれに応じた利用料金などの詳細は順次公開していくとしている。
同社は2013年10月の創業で、2017年4月にはシリーズBラウンドで10億円の資金調達を実施している。なお、当時同社はシリーズBにおける出資企業を非公開としていたが、同ラウンドにはSMBCベンチャーキャピタル、産業革新機構、住友商事、Sony Innovation Fund、FoxconnグループのCVCである2020、みずほキャピタルが参加していたことをTechCrunch Japanに明かした。