Slackはいまでも急速な成長を続けている、過去5ヶ月の間にDAU(Daily Active User:日次アクティブユーザー)と有償ユーザーが33パーセント増加した。しかし、以前ほどではない。昨年の12月15日から今年の5月25日までの5.5ヶ月で、DAUが50パーセント、有償ユーザーが63パーセントの伸びたときに比べれば 。
これはTechCrunchが聞きつけた、Slackの顧客継続率のわずかな落ち込みという噂とも整合する。カジュアルでGIFに埋められたワークプレースチャットアプリが大企業を賑わつつある一方、スケーラビリティに課題があるためだ。例えばUbserは、4月にSlackの利用を止めている。
Slackの今日のブログ投稿によれば、同社現在400万人のDAUを抱え、週次アクティブユーザーは580万人。125万人以上の有償ユーザーと3万3000の有償チームが存在している。現在の年間売上予想は1億ドルである。それは4月に2億ドルを調達した際に、38億ドルとの評価を受けて、7つのオフィスに650の従業員を抱える同社にとっては、十分なものではない。
ここで、SlackのDAUと、有償ユーザーの成長に関するタイムラインを見てみよう:
- 2013年8月 – ローンチ
- 2014年2月1日 – 1万6000DAU
- 2014年8月12日 – 14万DAU、4万有償ユーザー
- 2014年10月31日 – 26万8000DAU、7万3000有償ユーザー
- 2015年2月12日 – 50万DAU、13万5000有償ユーザー
- 2015年4月16日 – 75万DAU、20万有償ユーザー
- 2015年6月24日 ‐ 110万DAU、30万有償ユーザー
- 2015年10月29日 ‐ 170万DAU、47万有償ユーザー
- 2015年12月15日 ‐ 200万DAU、57万有償ユーザー
- 2016年2月12日 ‐ 230万DAU、67万5000有償ユーザー
- 2016年4月1日 ‐ 270万DAU、80万有償ユーザー
- 2016年5月25日 ‐ 300万DAU、93万有償ユーザー
- 2016年10月20日 ‐ 400万DAU、125万有償ユーザー
明言しておくが、Slackの成長は依然として驚異的だ。これは10ヶ月でそのユーザーを倍増させた、にもかかわらず世界中の働く人々をそのメッセージングプラットフォームに引き込むクエストはまだ端緒についたばかりだ。
Thrive、GGV、Comcast、Accel、Index、そしてSocial Capitalのような投資家たちは、スラックが頑張って維持しなければならない迅速な成長に賭けている。同社は、半数以上の毎日の利用者が、北米以外からアクセスしてくることを強調することで、その世界的な可能性を証明しようとしている。そこには海外のトップマーケットである英国、日本、ドイツ、フランス、そしてオーストラリアなどが含まれている。また、同社はAutodesk、eBay、Conde Nast、Airbnb、EA、Pinterest、TIME、そしてLinkedInといった知名度の高い顧客の名も挙げている。
利用継続率を高めるためのSlackの大きな戦略は、Slackのコア部分をコピーしようとする競合相手の中には存在しないような、サードパーティアプリのエコシステムの中に、ユーザーをロックインすることだ。Slackによれば、現在App Directoryには746のアプリが登録されており、毎月41万5000回インストールされているサードパーティアプリは丁度600万インストールに達したばかりだ。
これ以上の株式を売ることなく、投資家たちにSlackの成功に向けての掛け金を倍増させる機会を与え、同時にその守りを固めることを狙って、同社は8000万ドルのSlackファンドを立ち上げた。ファンドの資金はプラットフォーム上のアプリに投資される。7月の時点で、そのうちの200万ドルが14のアプリに投資されている、そこには例えばAbacus、Butter.ai、Birdly、Lattice、そしてSudoといったものが含まれる。一方、Slackは企業のID管理機能の1つを提供することを狙って、「Sign In With Slack」(Slackでサインイン)機能を他の企業向けツールに向けてプッシュしている。
長期的な成功のために、Slackはその最大の敵を倒す方法を発見しなければならない:それは人間の性質だ。企業のあらゆるレベルで、誰もが通信する必要があること、そして私たちがオンラインチャットに慣れているという事実こそ、Slackをこれほどまでに急速に成長させた第1の理由である。しかし、本当に仕事を進めたい際には邪魔となりかねない、Slackが返答への遅延を奨励したり、ソーシャライズにあまり価値を置いていないやり方は、顧客を怖気させてしまう可能性がある。
それこそが、同社がブログで「私たちが『Slackは仕事が進められている場所』と書くとき、私たちが意味しているのは、単に他の人びとにメッセージを送ることができる場所ということではありません。私たちの、世界中の何万人ものビジネスカスタマーの仕事のギアを回す、統合されたワークフロー、ビジネスプロセス、データストリームそしてアプリケーションが行われる場所という意味なのです」と宣言した理由である。
ノイズをカットし、Slackを生産的に利用する方法についてのユーザー教育を行い、そしてビジネスに向けたきちんとした体制を整えておくことが望ましい。Dropboxも同様に、カジュアルで若さに溢れたボトムアップのやり方で企業の世界にやってきたが、伝統的で保守的な企業たちに、プロ向きで十分に安全なものであると信じさせるためには相当に苦労した。Slackとその率直なCEOStewart Butterfieldは、愛すべきスタートアップを構築した。その成長の次の段階は、尊敬を集める企業ビジネスの構築だ。
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(翻訳:Sako)