日本の宇宙スタートアップAstroscale(アストロスケール)が、軌道上のデブリを捕獲して安全に除去することを目的とする、同社のELSA(End-of-Life Services by Astroscale、エルサ)技術の実証ミッションのために、ELSA-d(エルサd)衛星を打ち上げた。Astroscaleの実証実験パッケージには、2つの独立したペイロードが搭載されている。1つは、未来の本番宇宙船の役目の「捕獲衛星」、もう1つは、将来は顧客の依頼を受けて軌道から除去される役目の「デブリ模擬衛星」だ。
このAstrocaleのペイロードは、18カ国から集められた他の商業衛星38基とともに、カザフスタンを米国時間3月22日早朝に離陸したソユーズロケットを使って打ち上げられた。2013年に日本人起業家の岡田光信氏が創業したAstroscaleの宇宙船が、軌道に乗るのは今回が初めてだ。Astroscaleは、2017年に小規模デブリの測定を目的とした超小型衛星を打ち上げたが、発射ロケットのプログラムにミスがあったため、そのミッションでは18個の衛星すべてが軌道に到達できなかった。
今回のELSA-dミッションは、さらに野心的な取り組みであり、Astroscaleが最終的に商業化を目指している技術の、軌道上での積極的なデモンストレーションを行うものだ。ミッション内容には、捕獲衛星と模擬衛星の間でドッキングとリリースを繰り返す操作が含まれていて、模擬衛星には捕獲衛星のドッキング手続きを支援するための強磁性プレートが組み込まれている。
Astroscaleは、今回のデモンストレーションで、捕獲衛星が顧客役の模擬衛星を探し出して位置を特定し、損傷の有無を検査した上で、上述のようにドッキングを行う。なおその際には、対象が安定した軌道を維持している場合と、姿勢を制御できずに宇宙空間で回転している場合の両方のシナリオを想定している。
英国内に、Astroscaleが設置した地上センターから制御されるこのミッションには、多くのものがかかっている。長期的な商業活動だけでなく、スタートアップはJAXAと提携して、日本の宇宙機関史上初の軌道上デブリ除去ミッションを行うことになっている。このミッションでは、ロケットの使用済み上段ロケットに相当する大きな物体を、軌道上から除去する世界初の試み行う予定だ。
カテゴリー:宇宙
タグ:Astroscale、スペースデブリ、日本
画像クレジット:Astroscale
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(文:Darrell Etherington、翻訳:sako)