シンガポールに拠点を置くメディア企業E27が300万シンガポールドル(220万米ドル)でシリーズAラウンドをクローズした。難しい時期を乗り越えた同社は、技術関連に特化したニュースサイトとイベント事業の再開発を目指す。
E27は、過去にもシードラウンドで調達を行っており、直近では昨年の夏に65万ドルを調達しているが、ここ1か月ほど新たな資金調達の話が持ち上がっていた。今回の発表は、それぞれ初期段階にある技術に従事する新しい投資家グループからの調達をE27が認めた格好だ。今回のラウンドのリードインベスターは中国拠点のTechTemple Groupであり、ほかにはこちらも中国のLinear Venture、インドネシアのConvergence Ventures、さらにシンガポールからはVenturecraftとベンチャービルダーの Spacemobの2社が参加した。
東南アジアでは、E27はニュースサイトe27.coと、長年開催されているEchelonのイベント事業で知られている。2007年創立の同社にとって、昨年レイオフやリストラを行うなど厳しい1年となった。しかし、新たに資金を調達したことでE27の共同創立者でCEOのMohan Belani氏は、全社的に新しい人材を獲得し、編集チームとイベントチームを拡大するほか、求人情報サービス、Crunchbase型のデータベース、サードパーティがバンドル化した製品を販売可能な「マーケットプレイス」などの新規事業も展開する計画を明かした。
「目的とするのは、メディアのみに限られない環境的なプレイヤーです」と、Belani氏は電話インタビューの中で語った。「当社にとってメディアは最初の足掛かりでしたが、会社が成長するにつれ課題も変化することがわかりました。E27のデータベースとマーケットプレイスが合わされば、より大きなコミュニティにサービスを提供できます。さらにイベント事業と組み合わせることで、オンラインとオフラインをバランスよくとり合わせることもできます」
Belani氏によれば、E27は新しい投資家たちとかなり直接的にやり取りをする予定であるといい、TechTemple Groupと提携して中国でコワーキングスペースやインキュベーションサービスなどの、スタートアップを支援するさまざまなサービスを提供するイベントを開催したり、初期段階での投資に注力するConvergence Venturesとインドネシアでイベントを開催することが示唆された。同様に、ほかの投資家にも専門分野でのタイアップの可能性があるという。
「特に注力するのは、イベント事業とオンライン事業です。また、最もなじみが深く、得意としていることから東南アジアのマーケットに重きが置かれる予定です」と Belani氏は付け加え、中国やインドの技術コミュニティが東南アジアのポテンシャルに対する関心を強めている点に言及した。
E27にとって強力なライバルとなるのが、同じく編集事業とイベント事業を手掛けるTech In Asiaだ。Tech In Asiaは現在までに400万ドルを調達した昨年のラウンドを含む700万ドルを調達しており、Y Combinator出身のアジア向けのCrunchbase型の分析サービスであるTechlistなどの事業に70名以上が従事している。これら2社に加えて、東南アジアには技術ニュース専門ブログとしてDigital News AsiaとDeal Street Asiaがある。
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(翻訳:Nakabayashi)