株取引アプリRobinhoodが週末だけで合計3566億円の資金を獲得

厳しい監視下にある人気株取引アプリのRobinhood(ロビンフッド)が、株主らから得た24億ドル(約2516億円)をバランスシートに加えた。Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じた後、同社が正式に認めている。非上場のスタートアップは米国時間1月29日に10億ドル(約1048億円)を調達したばかりであり、多数の民間投資家が個別株に投資しようとRobinhoodのアプリに殺到するのに対応するべく、これで同社はわずか数日の間に34億ドル(約3566億円)を手に入れた。Redditユーザーが空売り人たちを困らせようとGameStopに投資したことが大きな要因だ。

Robinhoodによると、新たな調達ラウンドは「Ribbit Capitalのリードで、既存出資者のICONIQ、Andreessen Horowitz、Sequios、Index Ventures、NEAが参加し、最終条件は調整中」という。未確定の調達ラウンドについて発表するのはかなり異例だが、早く心を落ち着けたいRobihoodが、手続き完了前に資金について叫ぶのは理に適っている。

新たな資金は、2021年にIPOを実施する可能性のあるユニコーンにとって厳しい時期にやってきた。しかし、同時に世間の大きな関心を集めやすいときでもあり、多くの潜在新規ユーザーを引きつけるに違いない。

先週Robinhoodは、GameStop(ゲームストップ)やAMCといった、いわゆるミーム株に投資しようとする新たな投資家の需要に圧倒された。厳格な資金要件に答えるために、Robinhoodは一時的にこれらの株の取引を中止せざるを得なかった。現在RobinhoodユーザーはGameStopなどの株をわずかしか買うことができない。GameStopの爆走が始まった後、Robinhoodは追加資金を獲得したが状況は変わっていない。

TechCrunchはRobinhoodにメールを送り、24億ドルの資金調達の詳細を尋ねた。会社の第一次資本として調達したのか、上場時に転換可能な転換社債なのか、それとも別の方法なのか。

【更新】Robinhoodは正式なコメントを拒んだ。しかし事情に詳しい筋が、資金はConvertible Note(コンバーチブルノート)のかたちで調達されたとTechCrunchに語った。Forbesは資金調達がコンバーチブルノートで行われたことを最初に報じていている

「今週の株式市場における異常な状況の中、本日当社は一部株式の購入を一時的に制限する苦渋の決断を下しました。証券会社として、当社にはSECの資本準備義務や清算預託金など数多くの財務要件があります。要件の中には市場変動に応じて変動するものがあり、現在の環境下では著しい金額になりえます。これらの要件は投資家と市場を保護するために存在するものなので、私たちは規則に従う義務を果たしており、本日の措置もその1つです」と同社がブログに書いている。

言い換えると、Robinhoodは資金が底をつき、そのために同社アプリの狂った活動を制限せざるを得なかった。Robinhoodによる制限の理由は手続き的なものだが、多くの投資家たちはこの締めつけをヘッジファンドを優遇する仕打ちだと受け取っている。米国時間1月29日、Robinhoodは新たなブログ記事を投稿し、この同社の軌道における重大な週とも見られている期間に起きたことを詳しく説明した。

「私たちのゴールは、このプラットフォームであらゆる銘柄を購入できるようにすることです。これは活動的で変化の多い市場であり、私たちはこれまで通り仲介業者としての要求に答える行動を継続し、長期に渡ってお客様にサービスを提供していきます」と声明に書かれている。

この日の新たな資金はRobinhoodが切望していた緩衝となるもので、顧客である投資家たちを喜ばせる手助けになるだろう。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Robinhood資金調達

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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