ウォールストリートの株式トレーダーの間では「死んだネコがジャンプする」という表現がある。これは下げ相場の途中で一時的に上げ相場が現れる現象を指すのだという。
昨日(米国時間3月10日)の上げ相場はその一例だったかもしれない。米国、欧州にも新型コロナウイルスが拡大する中、サウジアラビア、ロシアの原油増産による石油価格の下落は米国のシェールオイル産業への逆風だ。こういうファンダメンタルズ(基礎的事項)は世界の投資家のマインドを否定的な方向に傾かせている。
TechCrunchの株式記事の読者なら、最近我々が日々寄り付き値、引け値を報告していることに気づくだろう。市場の値動きが激しくなり、これが他の経済活動に大きな影響を与えるようになったためだ。これまでは株価は単にアップする一方で、株トレーダーの仕事は退屈だったろう。ところが今の値動きは活気がありすぎてクレージーだ。例えば
- ダウ平均:マイナス712.4ドル、マイナス2.85%
- S&P 500:マイナス76.4ドル、マイナス2.65%
- Nasdaq: マイナス208.1ドル、 マイナス2.49%
この1日で暗号通貨さえわずかに下げた(bitcoin、そのほかの小型株とも)。SaaSとクラウドの株は2.5%ダウン、カテゴリー全体と同じ値動きだ。
CNBCの報道によれば、消費者層とデジタル産業育成に影響力のある投資銀行、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)は「株価は今後さらに15%下落し、強気市場はまもなく終了する」と述べたという。ありがたくない見通しだ。市場の空気は「どうせこれも過ぎ去る」から「ここは通さないぞ(ダメかもわからん)に変わりつつあるようだ。
要約
市場のアップダウンに一喜一憂するのには飽きたという読者も多いだろう。どういうことになっているのかだけわかればいいというのは私も同感だ。 以下は主要株価指数の最近の高値からの差と、この1年間の値動きだ。
- ダウ平均: 高値からマイナス17.8%、この1年はマイナス2.47%(CNBC)
- S&P 500:高値からマイナス17.3%、この1年はプラス3.35%(CNBC)
- Nasdaq:高値からマイナス17.0%、 この1年はプラス10.4% (CNBC)
これだけ覚えておけば最近の株の値動きについて充分に事情通になったと考えていいい。
新規上場の目録見はほとんどない。 シリコンバレーでは未公開企業を買収して上場させることを目的とするSPAC(Special Purpose Acquisition Company、特別目的買収会社)が注目を集めている程度だ。しかしベンチャー支援のスタートアップで現実に上場手続きを始めているところはない。なるほど、ProcoreとAccoladeは上場申請しているが、何がどうなっているのかわからない現状では誰も動こうとはしていない。
画像:Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)