楽天モバイルは7月9日、DMM.comが運営するMVNO事業「DMM mobile」およびインターネットサービス事業「DMM光」を承継することを発表した。7月4日に開催された同社の取締役会において決定した事案で、9月1日を効力発生予定日として会社分割の方法によりDMM.comから事業が移管される。今回の事業移管により、楽天モバイルはDMMに約23億円を支払う。
DMM mobileはNTTドコモの回線を利用したMVNOで、200kbpsの速度制限ながら440円から使い放題のメニューを用意するなど低価格路線がウリだった。DMM光は、NTTの「フレッツ光」を使用したインターネット通信サービスで、契約回線数約2万件とのこと(2019年6月30日時点)。
一時は乱立気味だったMVMOも収束の時期に差し掛かっている。UQモバイルやワイモバイルなど大手キャリアのサブブランドが低料金のサービスを提供したこともあり、圧倒的な価格優位性が保てなくなったためだ。そして多くの場合、サブブランドはMVMOよりも通信品質が高い。
大手キャリアのMVMO買収もある。2016年12月にはBIGLOBEはKDDI(au)の100%子会社となっているし、2018年3月にはLINEモバイルはソフトバンク傘下となった。各社とも買収したすべての事業がうまくいっているとは言いがたいが、NTTドコモからMVNOに流れた顧客をKDDIやソフトバンクが間接的に獲得し、両社の顧客基盤を強化したのは間違いない。
さて楽天モバイルだが、10月に移動体通信事業者(MNO)としてのサービスを開始し、国内で4番目のキャリアとなることが決まっている。同社は2017年9月に経営破綻したプラスワン・マーケティングからFREETELブランドのMVNO事業を継承して顧客数を増やした。今回のDMM mobileとDMM光の事業移管についても、モバイル事業の顧客基盤の拡大「楽天エコシステム」におけるメンバーシップの強化を図るの狙いがあるとのこと。最後発キャリアとなる楽天モバイルだが、国内では2020年に本格化する5Gの通信サービスに向けて基礎固めを着々と進めているようだ。