初代iPhone SEよりコンパクト、2万円台で買えるFeliCa搭載Rakuten Miniは首から提げて使えるメイン端末

Rakuten Mini」は国内第4のキャリアである楽天モバイル初のオリジナルスマートフォン。3インチ台のディスプレイを搭載した小型スマートフォンというだけなら過去に例があるが、おサイフケータイに対応したFeliCa搭載端末として世界最小・最軽量という点が魅力だ。また、一括払いで2万1800円と本体販売価格が比較的安価に設定されている。

となると最後に気になるのは超小型ボディーが、性能や機能に影響を与えていないかということ。そこで今回は、Rakuten Miniがメイン端末として活用できるだけの性能、機能を備えているかチェックしてみたいと思う。

楽天モバイル「Rakuten Mini」は2万1800円

プロセッサーはエントリークラスだが意外にキビキビ動く

Rakuten Miniはコンパクトだが、メイン端末として活用されることを想定して開発されたスマートフォン。OSはAndroid 9 Pi、プロセッサーはクアルコムのSnapdragon 439(8コア、2GHz+1.45GHz)、メモリーは3GB、ストレージは32GBを搭載している。

ディスプレイは約3.6インチでHD(1280×720ドット)解像度のTFT液晶パネルを採用。背面カメラは約1600万画素、f/2.0、前面カメラは約500万画素、f/2.4で、光学式手ぶれ補正機構は搭載されていない。

本体サイズは約幅53.4×高さ106.2×厚さ8.6mmで重さは約79g。1250mAhのバッテリーを内蔵しており、連続待受時間は約160時間、連続通話時間は約5.4時間とされている。5.8型「iPhone 11 Pro」のバッテリー容量が3046mAhなので、Rakuten Miniはその約41%のバッテリー容量ということになる。

ディスプレイの上下ベゼルは太め。本体背面には「モバイル非接触IC通信マーク」がプリントされている

本体上部にはマイク、本体下部にはUSB Type-C端子、スピーカー、マイク、ストラップホールが用意されている

本体右側面にはボリュームボタンと電源ボタンが配置されている。eSIM専用端末なのでSIMカードトレイは存在しない

ACアダプター、USB Type-Cケーブル、3.5mmイヤホン変換アダプター、ユーザーガイド(保証書)が含まれている

実際に使ってみた感想だが、意外にキビキビと動いてくれるというのが率直な感想だ。ベンチマークスコアは最新フラッグシップ端末の約16%に留まっているが、少なくともウェブブラウザー、カメラ、メディアプレーヤーとして使っているぶんにはストレスを感じることはない。もちろん3Dゲームを高負荷設定で動かすことはできないが、そもそも約3.6インチの画面で「PUBG」をプレイしたいという読者は少数派だろう。

AnTuTu Benchmarkで93701、Geekbench 5で832、3DMarkで448/502を記録。Snapdragon 865を搭載する最新フラッグシップ端末はAnTuTu Benchmarkで57万を超えているので、ベンチマークスコア上では6分の1以下と大きな差がある

カメラ性能についてはあまり期待していなかったが、背面カメラ、前面カメラともに発色は自然で意外に健闘している。ポロシャツのポケットにも入るサイズのカメラとしては十分満足な画質を備えている。

ただし、光量が不足している状態だ。特に夜景を撮影すると、暗部ノイズが目立ち、街の明かりが盛大に白飛びする。夜間に撮影する際にはコンデジなり、サブのスマホを用意することを強くお勧めする。

背面カメラで撮影

前面カメラで撮影

背面カメラで撮影

日本語入力システムとしては「iWnn IME」がプリインストールされており、デフォルトで日本語、英語モードともにフリック入力。一度キーボードをQWERTYキーボードに設定してみたが、(画面が狭いため)入力できないことはないがかなり慎重にタップする必要があった。デフォルトのフリックキーボードのほうが断然快適だ。

約3.6インチの小さな画面でも、フリック入力であれば誤タッチせずに文字を打ち込める

eSIM専用端末なので回線の選択肢が少ない点に注意

iPhone SEが4インチではなく4.7インチスマホとして発売されたことから、約3.6インチのRakuten Miniに興味を抱いている読者もいるかもしれない。そこで注意しておきたいのが、Rakuten MiniがeSIM専用端末であること。auは海外向けに「海外データeSIM powered by GigSky」というeSIMサービスを提供しているが、国内向けにはドコモ、au、ソフトバンクはeSIMサービスを展開していない。つまり、大手3キャリアや同じくeSIMを提供していないMVNO事業者の回線をRakuten Miniで使えない点には注意が必要だ。

せっかくコンパクトなスマホを手に入れたのに、ほかの端末を持ち歩くのなら本末転倒。2台持ち歩くなら、多少大きくても1台のほうがいい。つまりRakuten Miniを購入するなら、メイン回線を楽天モバイルに切り替えなければ意味がない。タブレット端末をメインに使っている人の通話専用端末、または首から下げておく仕事用スマホという使い方が、Rakuten Miniにピッタリだと言えそうだ。

楽天モバイルがDMMからMVMO事業などを約23億円で継承、第4のキャリアに向け着々準備

楽天モバイルは7月9日、DMM.comが運営するMVNO事業「DMM mobile」およびインターネットサービス事業「DMM光」を承継することを発表した。7月4日に開催された同社の取締役会において決定した事案で、9月1日を効力発生予定日として会社分割の方法によりDMM.comから事業が移管される。今回の事業移管により、楽天モバイルはDMMに約23億円を支払う。

DMM mobileはNTTドコモの回線を利用したMVNOで、200kbpsの速度制限ながら440円から使い放題のメニューを用意するなど低価格路線がウリだった。DMM光は、NTTの「フレッツ光」を使用したインターネット通信サービスで、契約回線数約2万件とのこと(2019年6月30日時点)。

一時は乱立気味だったMVMOも収束の時期に差し掛かっている。UQモバイルやワイモバイルなど大手キャリアのサブブランドが低料金のサービスを提供したこともあり、圧倒的な価格優位性が保てなくなったためだ。そして多くの場合、サブブランドはMVMOよりも通信品質が高い。

大手キャリアのMVMO買収もある。2016年12月にはBIGLOBEはKDDI(au)の100%子会社となっているし、2018年3月にはLINEモバイルはソフトバンク傘下となった。各社とも買収したすべての事業がうまくいっているとは言いがたいが、NTTドコモからMVNOに流れた顧客をKDDIやソフトバンクが間接的に獲得し、両社の顧客基盤を強化したのは間違いない。

さて楽天モバイルだが、10月に移動体通信事業者(MNO)としてのサービスを開始し、国内で4番目のキャリアとなることが決まっている。同社は2017年9月に経営破綻したプラスワン・マーケティングからFREETELブランドのMVNO事業を継承して顧客数を増やした。今回のDMM mobileとDMM光の事業移管についても、モバイル事業の顧客基盤の拡大「楽天エコシステム」におけるメンバーシップの強化を図るの狙いがあるとのこと。最後発キャリアとなる楽天モバイルだが、国内では2020年に本格化する5Gの通信サービスに向けて基礎固めを着々と進めているようだ。