今週、Hilton at Torrey Pinesで行われたCloud Identity Summitの会場をさまよって、はっきりしたことが一つある。企業の規模が大きくなるとあらゆる物事が複雑化し、その複雑化に対抗する一つの方法は標準を制定することである。
実際、カンファレンスを横断する永続的テーマは、このアイデンティティー(個人認証)に関わるあらゆる物事を行うための標準的方法が必要だということだった。それは業界がOAuth等の一連の標準によって解決しようとしている問題だ。OAuthは、Twitter等の識別情報を使って他のサービスに容易にサインインできるシステムだ。
他にも様々な略語からなるサービスが山ほどあり、私はGoogleで調べるのに多くの時間を費した。
ID管理の第一人者、Ping IdentityのCEO、Andre Durandはこれらの標準を、あらゆる会社がアイデンティティ事業を構築できるプラットフォームだと考えている。もし、みんなが基本的方法に同意すれば、彼の会社のように、その標準の上に作ったもので差別化することができる。実際オープンなプラットフォームは、業界発展における証明された方法である。
Salesforceのアイデンティティー担当シニアディレクター、Ian Glazerは、ユーモラスだが当を得たキーノート講演でこう言った。標準を守らないことは、有毒廃棄物をたれ流しているのと同じだ。そんなやり方で運営する者は自らの顧客がよほど嫌いに違いない、とも彼は言った。
最終的に、同じルールとライブラリーに基づいて運営することが誰にとっても理にかなっている。その結果、企業は永遠に車輪を再発明し続ける― あるいは何十種類もの車輪を使う ― という顧客にもデベロッパーにもカオス的な状態を避けることができる。
「大企業ユーザーは、アイデンティー標準が自分たちの展開あるいは利用するサービスの自然な一部になることを望むだろう」とGlazerは言った。そうした標準を実装しようとすることに対して何人も料金を請求すべきではない、むしろその逆だ。「悪い習慣をサポートし続けることに対して料金を課すべきだ」と彼は言った。
アイデンティティーに関して言えば、アプリ毎に新たなパスワード検問を設置できないのは明らかだ。誰にとっても維持困難な状況だからだ。そこで登場するのが連合アイデンティー、デジタルパスポートを持って国境を越えるように、個人がアイデンティティーを持ち歩く概念だ。
「境界には防衛上の役割がある」とDurandは言い、しかしサミットのメインテーマを繰り返してこう言った、「アイデンティティーはボーダーレスだ」。
「アイデンティティーは新しい境界、この概念はあらゆる分野に適用できる」と彼は言った。
これまで見てきたように、標準化はアイデンティーだけでなくあらゆる業界に秩序をもたらし、その秩序は概して良い結果を招く。Identerati ― Pingはゲストたちをこう呼ぶ ― はそれを知っている。これはあらゆる業界が学ぶべきことだ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)