Amazon, Microsoft, Googleの三社とあえて同時にたたかう企業はめったにないが、でも弱冠3歳のPaperspaceは、データサイエンティストを優遇することによってクラウドコンピューティングのニッチを開拓できる、と考えている。今日(米国時間5/3)同社は、Nvidia Pascal GPUを使用する仮想マシンを立ち上げた。そこには機械学習のフレームワークがすでにインストールされており、Paperspaceはプロシューマーや熱心なデータサイエンティストたちから成る新興市場にも対応しようとしている。
“Amazon Web Services(AWS)は素晴らしいけど、気軽に手を出せない”、とPaperspaceの協同ファウンダーDillon Erbは言う。
クラウド上の機械学習を、もっと、とっつきやすいものにするために、PaperspaceはユーザーのWebブラウザー上に、彼らが日常使い慣れているLinuxのデスクトップを提供する。そこから誰もが、安全なシェルや端末を使ってコードを実装できる。インタフェイスはWeb、ハードウェアはGPU、そしてPaperspaceは、2560 CUDAコアのPascalチップと16GBのメモリを1時間65セントという低料金で提供する。
“この1年半ぐらいで、GPUを要望する人が急に増えてきたね”、とErbは述べる。
このような、民主化された機械学習の市場サイズが、どれぐらい大きいのか小さいのか。それはまだPaperspaceにも分からないが、同社のユーザーたちがローンチした仮想マシンは5万を超えている。かなりの需要があることは確かだが、まだ同社としてはきわめて初期的な段階だ。
クラウドから機械学習を提供する、いわゆる、サービスとしての機械学習(Machine learning as a service, MLaaS)のスタートアップは、このところあまり人気がない。理由はいろいろあるが、そのひとつは、高度な技術を持っているエンジニアたちの市場と、開発過程を初心者のために単純化するプロダクトとのあいだに、ミスマッチがあることだ。
PaperspaceをBonsaiやH2O.aiなどと同列に扱うことはできないが、それでも上記のたとえは当てはまる。すでに大企業を顧客として抱えている既存のクラウドコンピューティングサービスも、今後ますます民主化へ向かうだろう。だから機械学習プラットホームの民主化は、必ずしも処女市場ではない。しかもデータセンターをスクラッチで(ゼロから)立ち上げアップグレードしていく費用は、膨大である。
Y Combinatorとニューヨーク大学、そしてInsight Data Scienceが、Paperspaceの初期からのパートナーだ。GPUを使う同社の新しい仮想マシンは、Insightが専門技術者の教育訓練に利用する。YCも同社のシンプルで使いやすいシステムを、今後のAIスタートアップの育成事業に利用するために、今実験を行っている。