欧州のマイクロモビリティスタートアップのDottが約80.5億円獲得

アーバンモビリティスタートアップであるDott(ドット)は、シリーズBラウンド延長を獲得した。もともと2021年春の発表で同社が8500万ドル(約97億7800万円)のシリーズBラウンドを調達した際には、株式と資産担保債務のミックスだった。そして米国時間2月1日、同社はこのラウンドにさらに7000万ドル(約80億5200万円)を追加した。今回も再び株式と債務のミックスとなる。

Dottは、スクーターシェアリングサービスでよく知られるヨーロッパのマイクロモビリティスタートアップ企業だ。最近、同社は一部の都市でeバイクのシェアリングサービスも開始している。

abrdn(アバドン)はDottの既存投資家Sofina(ソフィーナ)とともにシリーズBの延長を主導している。その他、EQT Ventures(EQベンチャーズ)やProsus Ventures(プロサス・ベンチャーズ)など、既存の投資家がさらに多くの資金を投入している。

Dottは、ヨーロッパで他のマイクロモビリティスタートアップと競合している。最も直接的な競合相手は、Tier(ティア)Lime(ライム)Voi(ヴォイ)である。価格設定やスクーターに関してはよく似ており、そのほとんどがOkai(オカイ)と協力してスクーターデザインを手かげている。しかし、必ずしもまったく同じ市場で事業を展開しているというわけではない。

現在、Dottはヨーロッパ9カ国の36都市をカバーしている。4万台のスクーターと1万台のバイクを管理している。Dottは収益の数字を共有していないが、同社は2021年に2020年に比べて130%多い利用を処理した。

マイクロモビリティ事業者の差別化要因として、他にロジスティクスと規制がある。ロジスティクスに関しては、Dottはプロセスを可能な限り内製化しようとしている。サードパーティの物流業者とは提携せず、自社で倉庫と修理チームを持ち、保有する車両のケアを行っている。

規制に関しては、同社はパリやロンドンといった憧れの市場で営業許可をいくつか獲得している。しかし、パリは現在、スクーターシェアリングサービスを厳しく規制しようとしており、新たに最高速度を時速10km(つまり時速6.2マイル)に設定した。現在、パリには最高速度時速10kmの低速ゾーンが700カ所ある。

関連記事:パリ、スクーターシェアリングサービスに時速10kmまでの制限を要請

ここで、2つの重要なポイントがある。まず、マイクロモビリティの会社を作るには、膨大な資本が必要だということだ。スクーターの購入にはお金がかかり、バッテリーの充電にもお金がかかり、すべてを円滑に進めるために人を雇うのにもお金がかかるので、これは驚くには値しないだろう。

第二に、規制の状況はまだ進化しており、スクーターのスタートアップにとってはまだ不確定要素があるということだ。Dottは電動バイクで製品を多様化させているが、これは賢い選択だと思う。また、充電の最適化を図り、より費用対効果の高いサービスを提供する計画にも注目したい。

画像クレジット:Dott

原文へ]

(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。