欧州の11カ国55都市で操業している電動スクーターレンタルのTier(ティアー)がこの4カ月で2度目となる資金調達を行った。
ベルリン拠点の同社は、昨年10月時点で6000万ドル(約67億円)としていたシリーズBラウンドを1億ドル(約112億円)に引き上げた。追加分はモスクワのRTP Global、ロンドンのNovator、名称は明らかにされていない米国のデットファンドが提供する、エクイティとデットの組み合わせだ。シリーズBの第1段階はMubadala CapitalとGoodwater Capitalがリードした。
追加で調達する資金はさらなる効率アップと車両開発のためのR&Dに注ぐとしている。いわゆる「マイクロモビリティ」のスタートアップはまた、管理チームの強化も継続する。同社は最近、新CCOと新COOをリクルートした。そしてM&Aも追求する。
加えてTierは「欧州でより多くの人、より多くの町に持続可能なモビリティ」をもってくるために、展開する車両を拡大する。それらはおそらく新しいカテゴリーのマイクロモビリティプロダクトとなる。
一方でTierは1月に英国のスタートアップPushme Bikesを密かに買収していた。交換可能なバッテリーやモビリティ関連ハードウェアのメーカーだ。同社は“ラストマイル交通”のためのバッテリー交換ステーションのネットワークを構築中だと考えられていた。これは、Tierの従来のスクーターを交換可能なバッテリーを使った新スクーターに置き換える最近の動きと直接つながっているようだ。
WhatsAppでの短いコールの中で、Tierの共同創業者でCEOのLawrence Leuschner(ローレンス・ロイシュナー)氏は、Pushme Bikesの買収はデザインと開発の専門性に鑑みる人材獲得のためのものとした。同氏はこの買収が将来のハードウェア計画の推進力となるとみている。
同氏はまた、交換可能なバッテリーを搭載した電動スクーターへの移行は、80%完了したと語った。これは収益性アップに貢献する。なぜかというと、バッテリーが交換可能であれば通りにあるスクーターを回収して、バンに乗せ、充電とメンテの施設に運び、その数時間後にまた元の場所に戻す、ということをする必要がないからだ。それに引き換えその場でのメンテでは、新しいバッテリーに変え、空のバッテリーを回収し、カーゴ電動自転車に載せて中央充電施設または近くの充電ハブに運べばいい。
ほかの電動スクーターレンタル大手とは異なり、Tierは充電にギグワーカーではなく、サービスの質を維持するために一元的なシステムを使っている。同氏は、交換可能なバッテリーの技術はより価値の大きい一元システムを意味すると指摘したうえで「ギグエコノミーは(電動スクーターレンタルにおいては)死んでいる」と強調した。
もしかすると、Tierが古い電動スクーターを新しいものと取り替えた後それらをどうしたのか気になる人もいるかもしれない。この点について同氏はOkaiが製造したスクーターは個人向けにMyTierアプリを通じてドイツの消費者に転売された、と説明した。 ロイシュナー氏が以前、中古家電における欧州マーケットのリーダー的存在であるreBuyを設立していたことを考えれば、そう驚くことではないだろう。
RTP Globalのパートナーを務めるAnton Inshutin(アントン・インシュティン)氏の声明は次の通りだ。「我々はTierが資本効率やオペレーショナル・エクセレンスの向上について細部にわたって注力していることに感銘を受けた。彼らは業界をリードする収益性を手にし、この冬に収益を拡大させることができた。同社は引き続き拡大を続ける。この分野で無敵である優れたチームと提携することをとても楽しみにしている」。
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(翻訳:Mizoguchi)