Mozillaが今日立ち上げたプロジェクトは、これまでこの団体が得意としてきた標準規格周辺のプロジェクトとはやや趣が違う。そのScienceLabと呼ばれるプロジェクトは、オープンサイエンス運動のリーダーKaitlin ThaneyとSoftware CarpentryのファウンダGreg Wilsonが長となり、“世界中の科学者がオープンなWebを利用して科学の未来を作りだしていく”ことを支援する。プロジェクトは、Alfred P. Sloan Foundation(スローン財団)がスポンサーしている。
“Webを作ったのは科学者たちだが、そのオープンなWebはまだ、科学の実践を、メディアや教育やビジネスなどそのほかの領域を変えたほどには変えていない”、MozillaのMark Surmanはこう主張する。
現在の学術評価のシステムは、悪名高い”publish or perish”(発表するか消え去るか)という言葉にも見られるように、知識は研究論文によってのみ広まる、という観念の上に立脚している。しかも論文はなるべく、学者村において“ステータスの高い学術誌”に載った方がよい。この状況に対してMozillaが当然考えるのは、“これだと科学者たちは永遠にWebとそのオープンでコラボレーション的な特質を学習や共有の場として利用しない”、ということだ。
彼らがプロジェクトの目的として記しているのは、“今あまり実績や評価が良いとは言えないデジタル的ネットワーキング的な科学研究の領域を大きく押し広げ、Webが科学に対してなし得ることをさらに遠い未来的視野まで探究する”ことだ。
プロジェクトが最初に取り組むのは、学生や学者たちへのデジタルリテラシの啓蒙だ(まだインターネットもWebも知らない研究者がざらにいる)。また、研究者たちに基礎的なコンピューティングスキルを身につけてもらう。そして何よりも重要なのは、これまでオープンなWebを作ってきた方式ややり方を、科学の未来を作るためにも応用できるという認識を、対話の活性化を通じて広めていくことだ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))