IoTや衛星データの活用により水産養殖の課題解決を目指すUMITRONは9月11日、スパークス・グループが運営する未来創生ファンドより約3億円を調達したと発表した。これは2018年6月に発表した約9.2億円の資金調達に続くもので、本ラウンドでの調達総額は約12.2億円となる。
UMITRONは日本の起業家3人がシンガポールで立ち上げた水産分野のスタートアップ。IoT、衛生リモートセンシング、AIなどのテクノロジーを活用することで水産養殖に関連する課題の解決を目指している。そのソリューションの1つが、魚のエサやりを自動化する「UmiGarden(ウミガーデン)」だ。
生簀にUmiGardenを設置すると、センサーによって飼育状況が自動でモニタリング・記録される。それによって得た魚群データが解析され、エサやりの最適なタイミングや量が把握できるという仕組みだ。スマホを通じて遠隔でのエサやりも可能となる。
UmiGardenによって生産者が抱える負担の軽減をめざすUmitron。でも、水産養殖の“課題”はそれだけじゃない。自然の海を利用する養殖ならではの自然災害リスクもその1つだ。同社によれば、海面養殖はグローバルで現在の100倍以上の生産ポテンシャルがあるとする研究結果はある。だがその一方、2016年にチリで発生した赤潮の被害総額が800億円以上にのぼるなど、養殖経営の安定性の向上も乗り越えなければならない課題の1つだ。
そのため、ウミトロンではIoTなどのテクノロジーによって生簀内の状況を判断し、その時価総額を推算する技術を開発。例えばクルマのように、魚という資産の価値を定量化することで水産養殖専用の保険を提供するための研究開発に取り組んでいる。
同社は2018年8月より水産養殖保険のためのデータサービスの実証実験を開始。今後同社は、この保険サービスの開発を共同で進めるパートナーを国内外で募集するという。