持続可能な宇宙輸送手段として有翼式スペースプレーンの開発を進めるスペースウォーカーは、9月15日、産業ガス、医療、物流、化学と幅広い分野で水と空気に関わる事業を展開するエア・ウォーターおよびエア・ウォーター北海道と、水素ガス運搬用の次世代型複合材高圧タンク開発のための基本合意締結を発表した。
今回の合意が目指すのは、タイプ4、タイプ5と呼ばれる金属を使わない軽量な高圧水素タンクの技術開発。地上での水素ガスの輸送と水素ステーションなどの供給施設での使用を想定した新しいタンクを開発するのが目的だ。エア・ウォーターは1970年代からロケット開発に携わっており、高圧ガスの製造、運搬、貯蔵に関して豊富な知見を有している。
スペースウォーカーとエア・ウォーター、エア・ウォーター北海道とは、2020年9月にスペースウォーカーのスペースプレーン運用(燃料調達、バイオ液化メタンのロケット燃料利用に関する実証、射場の地上設備)に関する基本協定を締結し、北海道大樹町でのスペースプレーン打ち上げを目指しつつ、宇宙開発を通じた地域の発展に貢献するとしている。こうした宇宙技術開発の一方で、脱炭素社会の実現に向けた技術開発にも注力する意味で、今回の合意となった。
それに先立ちスペースウォーカーは、今年7月に次世代複合材高圧タンクの技術を持ち、宇宙開発で協力関係にあったCoMReD(コムリード)を吸収合併し、体制を固めている。金属を使わないタイプ4、タイプ5の容器で「耐久性、長寿命化と軽量化の両立を極限まで追求します」とスペースウォーカーは話しているが、同時にこれは「ロケット開発でもっとも重要となる軽量化の技術のひとつ」であり「宇宙と地球のデュアルユースが可能な次世代の複合材高圧タンク」とのことで、地上と宇宙と両方の展開が期待される。