求人プロセスを機械に置き換え、若手に特化したレコメンド型転職サイト「キャリアトレック」


ハイクラス人材に特化した会員制転職サイトを運営するビズリーチが21日、20〜30代の若手をターゲットにしたレコメンド型転職サイト「キャリアトレック」を正式公開した。これまで人材紹介会社が求職者へのヒアリングをもとに属人的に行っていた求人紹介のプロセスを機械に置き換え、データマイニングによってユーザーの潜在ニーズに合った求人情報を提案するのだという。

仕事をレコメンドするにあたっては、以下の4つのアルゴリズムを利用している。

1)会員基本情報:経験職種や業種、スキルなど
2)キャリア診断テスト:企業選びで大切にする基準20項目に回答
3)会員のサイト利用動向
4)会員の志向性に似た他の会員のサイト利用動向

キャリア診断テストでは「やりがい」「企業の成長性」「ワークライスバランス」など、転職時に重視する基準を5段階評価で回答。この診断結果をもとに、ユーザーの志向にあった仕事が紹介される。具体的にはスピード感を重視する人にはベンチャーを、安定志向の人には老舗の企業が勧められるのだとか。紹介された求人に対して「気になる」「気にならない」を選ぶことで、レコメンドの精度が上がる仕組みとなっている。

自分と同じ志向性や経歴を持つ他のユーザーがどの求人に応募しているのか、どの求人の選考に通過しているのかといったことも分析し、求人のレコメンドに反映される。Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」のような機能によって、「自分では考えもしなかった企業を知ることができ、キャリアの選択肢の可能性が広がる」と、キャリアトレックのプロデューサーを務めるビズリーチの関哲氏は話す。

転職サービスといえば、検索型のサイトや人材紹介会社があるけれど、前者は自分が知っている職種や企業などのキーワードで能動的に仕事を探さねばならず、「高い意欲と検索スキルが求められていた」(関氏)。後者は仕事を能動的に探さなくても転職エージェントが紹介してくれる反面、人手に頼るためにマッチングの品質にばらつきがあったと指摘する。

正式公開時の求人件数は1700社、7500件。2014年8月までに1万件の掲載を目指す。国内最大級の転職サイト「リクナビNEXT」の求人件数8万5000に比べると10分の1にも満たないが、使えば使うほどレコメンドの精度が上がるというキャリアトレックは、目先の転職だけでなくて長期的なキャリア形成を視野に入れた利用が考えられそうだ。実際、関氏も「雑誌を読むような感覚で長期間使ってもらえれば」と話している。

個人の趣味や嗜好に合わせた情報をレコメンドするサービスといえば、AmazonのようなECサイトに始まり、最近ではGunosyをはじめとするニュースアプリが人気だ。ちなみにGunosyは2012年11月、ニュースアプリで培ったデータ解析技術を応用してユーザーにぴったりの仕事を紹介するという「Gunosy Career」の事前登録を開始。同月にTechCrunch Tokyoでも発表して話題になったが、いまだに始まる気配はない。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。