求職者が書いたコードを自動的に分析して評価するAIプロダクトTARAを作ったGradberry…雇用に真の能力主義を

gradberry-employer-dashboard

人を雇うプロセスは、どこまで自動化できるだろうか?

Y Combinatorが支える二つの企業が、テクノロジ分野の雇用における、この問題に答を与えようとしている。

まずGradberryは、今およそ3000人の求職技術者をユーザとして抱える採用プラットホームだが、このほど、人工知能エンジTARAを立ち上げた。それは、応募者が書いたコードを調べて、優秀者を求人企業の最終銓衡リストに入れる。

“学歴よりも本当の能力をまず知りたいときは、Gradberryが役に立つ”、と協同ファウンダのIba Masoodは語る。

Masoodと彼女の協力者Syed Ahmedは共に、アラブ首長国連邦シャルジャのAmerican Universityを卒業したが、彼ら自身の就活において、どの求人企業もそんな大学は聞いたことがないと言い、雇ってくれない。しかしそれでも二人は、モロッコで行われたMIT共催のスタートアップコンペに入賞し、その賞金でボストンへ引っ越した。

彼女は曰く、“大学は出たけど、仕事が見つからなかった。でも、たくさん断られる過程で知ったのは、求人企業に偏見があることだ。‘あんたは、イェール大学を出たかね?スタンフォードを出たかね?MITへ行ったかね?’ばっかしだった。答はノーだけど、でもMITから賞金をもらっている。そのことは、人の能力は出身地や学歴とは関係のないことの証拠だ。重要なのは、過去にどんな仕事をしたか、どんな作品を作ったか、だ”。

彼らが作ったTARAは、Talent Acquisition and Recruiting Automationの頭字語だ(人材獲得と採用の自動化)。今月の最初の3週間で、800近い推薦を行った。企業の採用担当者10人分の仕事量に相当するだろう、とMasoodは言う。

このプログラムは、求職者が書いたコードを、コードの複雑さ、ランタイムエラー、言語など5つの要素で分析する。そした求人企業が求める言語(例: Java)とフレームワーク(例: Eclipse)にマッチした候補集団を、紹介する。

Gradberryのソフトウェアは基本的には無料だが、企業の採用担当者がコードの質を判断するために使うときは、有料だ。

そして企業が、Gradberryが紹介した人たちの中から採用を決定したら、その人の初任給(年俸)の5%をGradberryがいただく。一方求職者は、Gradberryに自分のGithubやポートフォリオのリンクを提出してもよい。

Gradberryは、East Ventures、Etsyの最初の投資家Payman Pouladdej、Point Reyesのe.fund、HKB Capitalなどからシード資金を獲得している。

この記事で紹介するもうひとつの採用プロセス自動化プロダクトは、Y CombinatorのパートナーだったHarj Taggarが数週間前に立ち上げたTripleByteだ。これもGradberryと同じく、有名大学のブランドイメージに対する求人側の偏見を取り去ろうとしている。世の中には、独学者も含め、有名大学を出ていなくても、あるいは出ていない人たちにこそ、優秀な資質を持った人がたくさんいる、ということを彼らは客観的に証明したいのだ。

gradberry

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。