オンラインの注釈プラットホーム(annotation platform)Genius〔元Rap Genius〕は、ラップの歌詞のページに書き込みができるサービスとしてスタートし、やがてWeb上のどんなページでもサポートするようになった。同社は今ではサービスのAPIを…蓄積した注釈や音楽メタデータなどとともに…公開しているので、外部のデベロッパが自分のアプリケーションにその機能を実装できる。Betaworksは早速そのAPIのパートナーになり、InstapaperにGeniusを統合してその新しい機能Notesを実装し、それを昨日ローンチした。
InstapaperのNotes機能では、ユーザがネット上の記事から短いテキストをセレクトして、そこにコメントをつけられる。それらの注釈はデフォルトではプライベートだが、共有を指定すればTwitterのtextshotで共有できる。また、FacebookやEvernote、Tumblrなどそのほかのアプリケーションでも共有できる。
InstapapeのNotes機能でユーザが注釈を作成すると、それをGeniusのAPIがGeniusにポストする。ポストそのものは、FacebookやTwitterなどにポストする場合と同じだ。
このAPIには投票機能があるので、読者の投票により注釈が”Genius IQ“と呼ばれる得点を稼げる。それは、Genius上の一種の評判システムで、いろんなアクティビティにポイントが付与される。
しかしGeniusのルーツが音楽の注釈なので、その無料で使えるAPIには音楽系のパブリッシャーにとって便利な機能がいくつかある。またデベロッパは、これまでGenius.comに蓄積された何百万もの注釈にアクセスしたり、あるいはGeniusの音楽メタデータのライブラリを検索してアーチストやアルバムや曲について知ることができる。
GeniusのAPIについて詳しく知りたい方は、どうぞこちらへ。
Geniusは昔から目立ちたがり屋で、本誌のTechCrunch Disruptのステージでも必ずおふざけをやらかす。協同ファウンダのMahbod Moghadamはインタビューの席で、Mark ZuckerbergやWarren Buffetなどの大物について、(受けねらいで)不謹慎なコメントを述べたこともある。また同社はブロガーたちにインセンティブを与えて記事中にGeniusのリンクをたくさん書かせ、Googleの検索に対するいかがわしいSEO行為に及んだ。Moghadamはその後、カリフォルニアの銃乱射事件の犯人の声明文へのGeniusの注釈で、女性差別的なことを書き、辞任に追い込まれた。
しかしGeniusのサイトそのものは、ほかの、スパム広告ばかり多い歌詞サイトに比べると、歌詞の読むためのリソースとしては優れている。またGeniusは、企業のプレスリリースに対する注釈で、煙幕のように真意の見えにくい企業語を、ずばり大衆の言葉に翻訳することが上手だ。たとえばここでは、Verizonによる(本誌の親会社)AOLの買収の一件を説明している。
今Genius.comの月間ビジター数は3000万で、毎月10万あまりの注釈が作られている。Betaworks/Instapaperに続くそのほかのAPIパートナーは、今後数週間以内に発表されるそうだ。