活気づく企業支出管理サービス分野でDivvyが169億円を調達

米国時間1月5日、企業の支出管理に特化したユタ州拠点のスタートアップ、Divvyが、1億6500万ドル調達したことを発表した。評価額は16億ドルだった。新たな資金はHanaco、Schonfeld、PayPal Ventures、およびWhale Rockの新規出資者と、既存出資者の一部から提供された、と同社は言っている。

今回の投資はDivvyにとって初めての民間資本による大型ラウンドではない。よく知られた同スタートアップは2019年4月に2億ドルを調達している。TechCrunchは当時、そのラウンドでDivvyが約7億ドルの評価額だったと報じており、今回のラウンドでは2倍以上の価値が認められたことになる。

Divvyはユタ州テック業界の名声を高めている同州拠点スタートアップ世代のひとつだ。Podiumも同じ集団に属しており、一方Qualtricsはその一世代前のグループと言えるだろう。

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Divvyの市場である企業支出管理分野(大まかに言って、企業が支出を管理、制限するのを支援する法人カードとソフトウェア)は、企業が財務基盤の近代化を図ろうとしている今、驚くほど活発だ。たとえばDivvyの新規資金調達に先駆けて、多くの競争相手が新たな資金獲得を発表している。今回のラウンドでDivvyが誰をライバル視しているかを見てみよう。,

競合

数週間前、同じく法人カードとソフトウェアを提供するスタートアップのRamp3000万ドルの資金を調達し、設立以来18ヶ月で同サービス経由の支出が1億ドルに達したことを発表した。同じ頃Divvyは、2020年に顧客数が120%、プラットフォーム経由の支出が100%、それぞれ2019年より増加したとTechCrunchに伝えた。同じく企業支出分野で競合するBrexは当時データ公開を拒んだ。

Divvyがこれだけの資金を集めていることは、最近の成長度合いから見て驚きではない。しかし、この分野でこれほど多くの会社が同様の急成長を維持していることは注目に値する。昨年12月に本誌がRampの調達ラウンドについて報じ、同時にDivvyの業績を書いたあと、Airbase詳細はこちら)とTeampay詳細はこちら)の2社がそれぞれの数字を公開した。

Teampayは10月に、年間経常収益(ARR)が320%、総支出額が800%、当時一年前だったシリーズA以来成長したと語った。Airbaseは年間経常収益250%増(2.5倍)、支払い金額700%増を記録したと報告した。.

このように、Divvy、Teampay、Airbaseの3社は著しい成長を続けているが、その内容は少々異なっている。DivvyとRampは企業支出サービスとソフトウェアを無料で提供し、支払金額の一部を仲介手数料として受け取っている。TeampayとAirbaseも仲介手数料から収益を上げているが、ソフトウェアも有償で提供している。つまり支出〈および〉ソフトウェアの両方で収益を得ている。

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そこでDivvyの今日のニュースに注目が行く。通常私はリリース文からの引用は避けているが、今日は紹介に値する。

16億ドルの評価額と重要な出資者の新たな参加は、財務手続きを近代化し、信用、取引先、支出の管理を一つのプラットフォームにまとめるDivvyの野心的試みの正当性を立証するものです。この調達ラウンドによって、Divvyはプロダクト開発とエンジニアリングへの投資を強化して将来のロードマップを加速します。

Divvyがプロダクトへの投資を強化? それはわかる。しかしソフトウェアを永遠に無料で提供するのは少々奇異に感じる。ライバルの何社かは代価を請求している。なぜDivvyもそうしないのか?

いずれわかることだろうが、今でもはっきりしているのはDivvyの属する集団のスタートアップらに送り込まれた資金が、莫大な需要を見せているニッチに注ぎ込まれたということだ。よって、2021年にこのプロダクト分野から多くの話題が生まれることが期待できる。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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