海外からの農業労働者の節約や送金をテックでサポートするGanazが7.7億円を調達

農業部門は技術面での改善の機が熟しているが、衛星を活用した収穫管理bees-as-a-service(ビーズ・アズ・ア・サービス)以外に、畑で実際に働く人もその恩恵を受けるべきだ。シリーズAラウンドで700万ドル(約7億7000万円)を獲得したGanaz(ガナズ)は情報管理をさほどせず、銀行口座も持たない人々が同様にローテックを抱えている現代の労働力スタックでどのように報酬を受け取り、送金するかをを変えることを目指している。

Growers(グローワーズ)、つまり土地を所有して耕し、農作物を販売する企業は賃金上昇、規制の増加、意欲的な労働者の減少などさまざまな方面から圧力を受けている。Growersは儲けを確保するために節約する必要があるが、労働者の報酬を少なくすることでそうすることはできない。報酬を絞ると、取り残された階級の人々に冷酷になるのに加えて、農業部門における労働力不足を悪化させるだけだ。

支払いやオンボーディングといったものを自動化することで節約をサポートする企業はそこらじゅうにあるが、農業事業は独特の制限を抱えている。

「まだ80年代のような展開です」とGanazの創業者でCEOのHannah Freeman(ハナ・フリーマン)氏は話す。こうした労働者が最も頼っているサービスは小切手の現金化とペイデイローン(給料を担保に提供する短期で高金利のローン)で、そうした手数料と為替、ATMの手数料、送金で給料の大部分が消える。「我々の世界の労働者は絶対に会社の電子メールアドレスを持っておらず、個人の電子メールアドレスを使っているのも稀です。モバイルアプリをダウンロードして使うことも難しく、ユーザーネームも使いません。しかし彼らはWhatsAppやSMSに精通しています。ですので彼らのためにどのように構築するかはおのずと知れるはずです」

画像クレジット:Ganaz

エコシステムは、最新の高価なテックを受け入れる代わりに古くて安いテクノロジーで行き詰まっている他の分野と同じだ。たとえばアフリカと南米のすべてのマーケットは老朽化し、信頼できないインフラ上で行われているテキストベースのコマースで成り立っている。

Ganazはハイブリッドなアプローチを採用した。同社のプラットフォームは労働者側と雇用側の両方にいくつかのサービスを提供している。

オンボーディングと基礎的なトレーニングは読み書き能力がさほど高くない人向けにオフラインでも作動するアプリが搭載されたタブレット端末経由で行われる。最も一般的な代替案はピックアップトラックの後部でクレートから出されるファイルフォルダーのようだ。それは大したことではなく、かなり流動的で分散している労働力にとって何年も理にかなったものだった。

支払いと残高チェックは全てSMSあるいはWhatsAppで済むが、センシティブな情報に関してはウェブアプリで行う。同様に、統合された送金提携もシンプルで、手数料を抑制する。

雇用主のサイドでは、労働者と彼らの重要なデータと資料は企業が期待するようになったインターフェースのようなもので一元的に追跡される。そしてGanazはテキストアラートや質問を送るための仲介者のように機能する。

画像クレジット:Ganaz

これまでのところGanazには75の雇用主が登録し、そのうちの1つはCostcoサプライヤーグループだ。そして合計約17万5000人の労働者がプラットフォームを利用している。Ganazの年間換算売上高とユーザー数はいずれも前年の約3倍になり、同社は明らかに波に乗っている。

Ganazは公益企業という指定でもって急成長を緩和してきた。株主価値を成長させる以上のことを達成するという意図を強調している。筆者は利益を示す必要性と取り残されたグループのサービスとして機能することの間にあるジレンマについて尋ねた。

「悩ましいです」とフリーマン氏は認めた。「当社はミッションに忠実であるよう努めています。それは当社が雇用する人、役員メンバーなどを含め、我々は共感し、人々と構築した信頼を名誉に思うようにしたいと考えています」

そこには投資家も含まれる。そしてフリーマン氏はGanazが部分的にはRemit.lyとの競合のためにTrilogyがリードした今回のラウンドを実行することになったとの考えを示した。

たとえば、ATM手数料を課すことで利益をあげることは簡単かもしれないが、それは助けようとしている人を直接害することになると指摘した。その代わり、今年後半に給料のMastercardを発行すると、それを使って労働者は小切手を現金化する手間と手数料を省ける。「そのように平等に成功できます」とフリーマン氏は話した。それは他の略奪構造置き換えるだけではない。

カードの後は、送金の自動化に着手する計画で、ユーザーは手数料などが最も少ない方法での家族への送金を簡単に選ぶことができる。そしてテキストを介してカード以外の送金先を選べる。

Ganazの主要マーケットは米国とメキシコだ。農業事業と労働力がいずれもバイナショナルであるためだが、他のターゲットも視野に入れている。ただし、まず同社は地位と機能を固めたいと考えている。「まだ離脱した勝者はいませんので、当社がその勝者になります」とフリーマン氏は述べた。

700万ドルのラウンドにはBessemer Venture Partners、Founders’ Co-op、Taylor Ventures、AgFunder、Techstarsも参加した。Ganazは次に迅速な事業拡大と積極的なロードマップの追求に乗り出す。

「インクルーシブで低コストな富の構築ツールを労働者のために構築する責任とともに、数十億ドルという給与をデジタル化する膨大なチャンスが目の前にあることを認識しています」とフリーマン氏は話した。

画像クレジット: Ganaz

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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