物流スタートアップDatumixが通販物流センターにおける立体シャトル自動倉庫作業の効率化AIアルゴリズムを開発

物流スタートアップDatumixが通販物流センターにおける立体シャトル自動倉庫作業の効率化AIアルゴリズムを開発・特許申請

AIとデジタルツイン技術で、物流の課題を解決する物流スタートアップ企業Datumix(データミックス)トーヨーカネツは9月17日、2020年4月7日に物流の倉庫出庫作業を効率化するAIアルゴリズムを共同開発し、特許を申請したと発表した。時間予測の技術を使用したものとして新規性があると主張している。

通販ビジネス(Eコマース)市場が拡大する中、通販物流センターは多くの商品アイテムを保管する必要があるため自動化設備の導入が進み、GTP(Goods To Person。歩行レスピッキング)対応の高速順立て出庫が可能な「立体シャトル自動倉庫」の仕組みを採用する事例が増加しているという。

しかし、膨大な商品アイテムを保管する必要がある通販センターでは、設備規模が大きくなるほど、その順立て出庫の制御ロジックが複雑になり、人手によるプログラミングで立体シャトル自動倉庫を最適稼働させることが困難になりつつあるという課題がある。

そこでDatumixは、複行オーダーにおいて複数商品アイテムの出庫指示から商品を集約ピッキングするステーションに出庫するまでの過程で、商品トレイの集約にかかる時間が出庫処理全体の84.6%(Datumix調べ)を占めることに着目。「ディープラーニングによる時間予測」を用いて注文の引当から商品トレイ集約の処理に要する時間の削減に取り組んだ。

また今回は、3Dモデリングにより物流設備を精密に再現する同社の物流最適化プラットフォーム「OPTIMUS AI」を用いてデジタルツイン環境を構築。このデジタルツインとは、現実世界の製品・製造設備・オペレーション・環境データの情報を収集し、これを基に仮想世界空間上に同じ状態・状況を再現するモデルを構築し、シミュレーションを行うというもので、製造業の生産性向上に貢献する技術として期待されている。

デジタルツインのモデル元となったトーヨーカネツの立体シャトル自動倉庫は、商品保管棚の一部エリアを使って複数の通路棚に点在しているピッキング対象の商品トレイを1通路に集約してピッキングステーションに供給できる機能を有しており、従来システムに比べ順立て集約出庫時間を大幅に短縮できるものだったが、今回はそれをさらに大きく時間短縮することに成功した。

DatumixのAIアルゴリズムと既存アルゴリズムを同社内で比較した結果、立体シャトル自動倉庫からのオーダー集約出庫作業において、出荷される多品種の商品アイテムをオーダー単位に集約する時間を約20%短縮できることを検証したという。

Datumixは、同AIアルゴリズムにおいて立体シャトル自動倉庫デジタルツイン上で出庫にかかる時間を最小限に抑える検証結果を得られたことで、今後、実際の立体シャトル自動倉庫での検証も行う。またこの技術は、主に立体シャトル自動倉庫とAGV(Automatic Guides Vehicle。無人搬送車)・AMR(Autonomous Mobile Robot。自律走行搬送ロボット)への応用で培ったもので、さまざまな物流設備や機械に応用できるとしている。

Datumixは、同AIアルゴリズムを用いて、自動倉庫だけではなく、さまざまな物流設備や機械での技術応用を実現し、今後さらなる多様化・簡素化が見込まれる物流業界やEC事業に高い技術と革新性を伴った技術の提供を目指す。

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TechCrunch Japan

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