特定のクラウドインフラに縛られたくないエンタプライズ開発を柔軟にサポートするElasticBoxが$9Mを調達

ElasticBoxは、アプリケーションをどんなクラウドインフラストラクチャの上でも容易に展開配置できる(デプロイできる)、というサービスだ。同社は今日、Nexus Venture PartnersとIntel CapitalからのシリーズAの投資ラウンドにより、900万ドルを調達したと発表した。その前の340万ドルのシードラウンドは、A16Z SeedとSierra Venturesが主宰した。

ElasticBoxのCEO Ravi Srivatsavによると、新資金は研究開発の継続と、主にヨーロッパとアジアにおける営業の拡大に充てられる。

ElasticBoxは、デベロッパたちの最大の頭痛のたねを取り除く。それは、アプリケーションを特定のクラウドインフラストラクチャサービス(IaaS)に幽閉することなく、自由にいろんなクラウドアーキテクチャ上で展開したいのだが、それが意外と難しいことだ。ElasticBoxは、ユーザ(デベロッパ)のアプリケーションの各部位をそれぞれ、完全に構成したうえで、同社が“ボックス”と呼ぶものの中へカプセル化し、それらのボックスをクラウド上で結びつけることによってアプリケーションを作り、動かす。

今では、インフラストラクチャのプロビジョニング(準備、セットアップ)はとても容易だ、とSrivatsavは言う。でも、仮想マシンを10も立ち上げて動かすとなったら、どうか? アプリケーションを構成するためには、大量のデータベースやランタイム、フレームワーク、などなどの部位(コンポーネント)をインストールしなければならない。そして個々のマシンを立ち上げたら、今度はそれら全体の同期や管理をしなければならない。

Srivatsavは曰く、“ElasticBoxでは、構成済みのボックスを組み合わせてアプリケーションを作るだけだから、デベロッパの仕事がとても楽になり、自由な発想も可能だ。それはDJがビートやサンプルを混ぜて新曲を作るのと同じで、企業のアプリケーション開発にDr. Dre的なクリエティビティを持ち込むのだ”。

たしかに、ChefPuppetのようなツールによって、その仕事は前よりもやりやすなっているが、そのプロセス全体を企業内で何度も反復する場合、どうするか? たとえば、VMWare上のHadoopのセットアップを、AWSを使っている別の社内グループと共有したい。AWSへの移行を、自分がやんなきゃいけない。そんなときElasticBoxを使うと、社内の誰もがボックスを使えるようになり、ElasticBox自身がボックスを数ダースも提供する。

このサービスはユーザのアプリケーションのアーキテクチャに関する情報をできるかぎり多く集めて、そのデータを特定のプラットホームにあまり限定されない形でとりまとめ、アーキテクチャの複製を作る。

Nexus Venture PartnersのマネージングディレクターJishnu Bhattacharjeeは、今日の声明文の中でこう言っている:“これまで、企業のインフラストラクチャの開発には、二つの転換点があった。ひとつは仮想マシンを作ること、もうひとつはクラウドサービスの勃興だ。その次にはElasticBoxが、このクラウド内のエンタプライズアプリケーションの開発と展開と管理をオーバホールする。それはVMwareとAmazon Web Services以来の、クラウドの第三の大きなイノベーションだ。この新しい技術カテゴリを構築している優れたチームとパートナーできることに、大きな興奮を感じている”。

この“ボックス”という言葉を聞くと、Dockerを思い出してしまうが、ElasticBoxによると、両者はむしろお互いに補完的であり、目的がそれぞれ異なる。

同社は今、そのサービスのSaaSバージョンを無料で提供しており、AWSとRackspaceとGoogle Computeへの展開をサポートしている。SaaSバージョンのユーザは同社が作って提供している50あまりのボックスにアクセスできる。エンタプライズバージョンは、さらにHP CloudとOpenStackとvSphereをサポートし、仮想アプライアンスとしての利用ができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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