特定の企業や人としかファイルを共有できないDocpackのアイデア

Docpackは企業に文書(ドキュメント)をシェアする簡単な方法を提供する。同社の顧客は特に、DropboxやGoogle Driveのようなサービスの利用が禁じられている大企業が多い。

ファウンダーでCEOのRurik Bradbury氏によると、彼がこの問題に気づいたのはLivePersonで会話型アプリを開発していたときだ。LivePersonを使ってるような大企業の多くは、ファイル共有サービスのリンクを受け付けない。そこで、プリントアウトした文書をFedExで送ったり、少なくとも一度は、文書を載せたAndroidタブレットを送ったこともある。

しかもこれは、限られた企業の特殊な問題ではなく、広く蔓延している問題のようだ。ある調査によると、BoxやDropboxやGoogle Driveなどは、エンタープライズのIT部門がブラックリストに載せて、警戒し排除しているアプリケーションの仲間なのだ。

Bradbury氏によると、企業が特に心配しているのが完全な双方向のファイルシェアリングだ。そこで、彼が見つけたそれを回避する方法は、各企業が小さなウェブサイトを共有すべき文書ごとに作ることだ。そこから誰か特定の人や企業だけが文書をダウンロードできる。ITから見ると、それらは単なるふつうのウェブサイトで、社員たちが勝手に文書をシェアし入手することはできない。ゆえに、それならブラックリストには載らない。

大きなDropboxではなく、極小のDropbox、ファイルが1つしか保存できないし、特定の人や企業しかアクセスできないDropboxを、必要に応じいくらでもたくさん作ると考えてもいい。Bradbury氏はそう言う。

ただし、この小さなウェブサイト方式はスケーラブルでない。そこでDocpackは、どんな顧客でも簡単迅速にそれらを作れるようにした。Bradbury氏はこのやり方を、WixやSquarespaceのようなウェブサイトビルダーになぞらえる。技術の全然ない人でもウェブサイトを一瞬で作れるという意味で。

Docpack Screenshot

Docpackのユーザーはほんの数クリックでミニウェブサイトを作ることができ、それに自社のブランド色を持たせたり、文書をアップロードできる。それらの文書は、特定企業のメールのドメインの中の人しかアクセスできない。また、文書をアップロードした者は、それをどこの誰がダウンロードしたか追跡できる。

料金は、スタンダードプランで一人あたり10ドルだ。そもそも会社の仕事は外部との文書共有で動いている部分が大きいから、営業や事業開発、マーケティング、PRなど、いろんな部門でDocpackを便利かつ安全に利用できるだろう。また、特定のジャーナリストたちのための無料アカウントもある。

Bradbury氏によると、Dropboxのようなファイル共有サービスもエンタープライズを意識し始めているが、それは単なる既存のサービスの拡張にすぎないという。これに対し、Docpackが提供するのはあくまでも特定企業間のファイル共有だ。

「それには十分に大きな需要があるはずだ。新しい種類のファイル共有サービスとして、ジャンルが確立してもいいよね」と彼は付け加えた。

画像クレジット: Stock4B

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。