企業や団体のコミュニティを活性化するプラットフォーム「fever」。同サービスを運営するAsobicaは12月4日、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。
今回同社に出資したのは本田圭佑氏が代表を務めるKSK Angel Fundを含む以下のファンドや個人投資家。調達額は非公開とされているものの、関係者の話を踏まえると1億円前後だと見られる。
- KSK Angel Fund
- East Ventures
- Japan Angel Fund
- 朝倉祐介氏(株式会社シニフィアン 共同代表)
- 今泉卓也氏(株式会社Gamewith 代表取締役社長)
- 金靖征氏(株式会社Candle 代表取締役)
- 塩田元規氏(株式会社アカツキ 代表取締役CEO)
- 内藤裕紀氏(株式会社ドリコム 代表取締役社長)
- 中川綾太郎氏(株式会社ペロリ 創業者)
- 箕輪厚介氏(株式会社幻冬舎)
- 他個人投資家3名
feverはコミュニティが独自の「コミュニティコイン」を活用して参加者の交流を促進したり、熱量を高められるサービスだ。
コミュニティの運営者はfeverに登録した後、オリジナルのコインを発行。このコインをコミュニティに貢献したメンバーへの感謝の気持ちとして、もしくはインセンティブの1種として送り合う。メンバーは誰でもコインと交換できる“特典”を登録でき、各々のスキルやコンテンツをコミュニティ内で流通させることも可能だ。
上記のような特徴から、feverにおいてはコインが「コミュニティを活性化するエンジン」のような役割を担うと言えるかもしれない。なおコミュニティに所属していないユーザーも気になるコミュニティの動向をチェックしたり、一般公開されているチケットを購入することが可能だ。
2018年4月のサービスリリースから約半年。現時点ですでに250以上の企業や団体が運営するコミュニティで導入されている。
Asobica代表取締役の今田孝哉氏によると、企業ではプログラミングスクールやコワーキングスペースなどで活用が進んでいるという。
プログラミングスクールの場合はユーザーがレッスンを受けたり、提出物を出すことで少しずつコインをもらえる仕組みを設計。集めたコインと交換できる特典を用意して、楽しく参加できるような工夫をしているそうだ。
今田氏の話では、リリース前は「コミュニティが外部と関係性を構築するためのツール」と「コミュニティ内部の熱量を高めるツール」の2軸を検討していたようだけれど、実際にユーザーの使い方などを見ている中で、後者にフォーカスすることを決定。現在はその方向で機能開発を進めている(立ち上げの背景や初期の構想などは前回詳しく紹介している)。
今後はコミュニティ内部でのコミュニケーションをさらに円滑にする手段として「チャット」や「知恵袋(Q&Aの掲示板)」のような新機能も検討しているそう。合わせて年内を目処に法人向けに特化したコミュニティ運営プラットフォーム「fever for business」の提供も本格的に開始する予定だ。
「SpotifyやAirbnbなど海外の先行企業はコミュニティにかなり力を入れている。基本的には口コミを増やすというマーケティング領域と、問い合わせを減らすというCS領域での活用を軸に、企業のコミュニティ活用も本格化していきたい」(今田氏)
B2Bのソフトウェアなどを開発する企業などでは“ユーザーフォーラム”など、サイト上にユーザー向けの掲示板のような場所を設けているところもあるが、方向性としては近いそう。独自コインを軸に企業とユーザー、ユーザー同士の関係性を育む装置としてもfeverが今後活躍していくのかもしれない。