Hyundai(現代自動車グループ)は現地時間6月21日、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)の買収を完了したと発表した。この取引は革新的なロボットメーカーを11億ドル(約1210億円)で評価するもので、2020年末に発表されていた。両社は、今後の財務的な詳細については明らかにしていない。
韓国の自動車大手である現代(ヒュンダイ、2020年よりヒョンデに表記変更)は、これまでソフトバンクグループ(SBG)が所有していたBoston Dynamicsの支配的利権を持つことになった。3年強にわたってBoston Dynamicsを所有していたGoogle(グーグル)から前者を購入したSBGは、実質的に過渡期のオーナーだった。
ソフトバンク傘下にあった期間はGoogle / Alphabet X時代に比べてそれほど長くはなかったが、Boston Dynamicsは約30年前に設立されて以来、初めて2つの製品を商品化した。同社は、四足歩行ロボット「Spot」を市場に投入し、2021年には、倉庫用ロボット「Handle」のアップデート版である「Stretch」のローンチを発表した(発売日はまだ未定)。
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現代自動車のErnestine Fu(アーネスティン・フー)氏は、TechCrunchのMobilityイベントに最近出演した際、Boston Dynamicsの80%経営支配権を取得する計画について語った。フー氏は、現代自動車のUMV(Ultimate Mobility Vehicle、究極の移動手段)開発に特化したユニットであるNew Horizon Studiosが、数十年にわたるBoston Dynamicsの研究を基にした「歩く」自動車のコンセプトを複数プレビューしていることに言及した。
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「New Horizon Studiosでは、ロボット工学と、歩行ロボットや歩行車両などの従来の車輪付き移動手段とを組み合わせたときに何ができるかを再考することが課題となっています」とフー氏はTechCrunchに語った。「当然、Boston Dynamicsが開発してきた技術は、そのようなコンセプトを実現する上で重要な役割を果たします」とも。
Boston Dynamicsはこれまでの変遷の中で、独自の研究部門を維持することにこだわり、ヒューマノイドロボット「Atlas」のような商業的ではない技術を生み出してきた。現代自動車の傘下でどのように機能するかは未知数だが、現代は少なくとも将来を見据えたアプローチを維持することに強い関心を持っているようだ。
Boston DynamicsのCEOであるRob Playter(ロブ・プレイター)氏は、今回の買収が発表された際にこう述べていた。「当社と現代自動車はモビリティがもたらす変革力という視点を共有しており、最先端のオートメーションで世界を変える計画を加速させ、両社の顧客のために世界で最も困難なロボティクスの課題を解決し続けられるよう、協業することを楽しみにしています」。
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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston Dynamics、Hyundai、ソフトバンク、買収
画像クレジット:Boston Dynamics
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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)