生き物であるかのようなサインを出して蚊をおびき寄せる捕虫器「モスキッター」

先の記事で別の蚊取り器を揶揄したが、バランスのためにも、今回のCESで展示されていた虫対策技術をもう1つ紹介しておこう。「Mosqitter(モスキッター)」は、蚊が産卵するチャンスを得る前にメスの蚊を引き寄せる、工業規模の蚊の殺虫器だ。そこから短期間で、見事に虫を退治することができる。

同社の説明によると、蚊が吸血活動を開始する前に誘引される自然要素は4つある。呼吸によるCO2、人間の体から出る熱のサイン、哺乳類が発する特定の波長の紫外線、そして香りだ。Mosqitterの製品は、魅力を最大限に引き出すようこれら4つの要素をさまざまなサイクルで駆使して、蚊を惹きつける。同社の製品は、どんな天候でも作動するように設計されているという。アプリを使って遠隔操作ができ、オプションでソーラーパネルを追加すれば、24時間365日の稼働も可能だ。

蚊を機械におびき寄せた後は、毒物を使用せずに殺すことができる。

「Mosqitterは生き物を模したもので、メスの蚊をおびき寄せ、装置の中に引き込みます。その結果は、初日から見ることができます。2〜3週間後には、蚊の繁殖サイクルが破壊され、テリトリーから蚊がいなくなります」と同社のCOOであるOlga Diachuk(オルガ・ディアチュク)氏は説明する。ただし厳密には、この機械は蚊を直接殺すのではなく、蚊を閉じ込めておくネットがあり、そこで結果的に蚊は餓死または乾燥死すると同氏は明確にした。

同社は2020年に販売を開始し、これまでに250台以上を販売したという。今後は、イタリア、インド、ジンバブエなど、この捕虫器が最も必要とされる地域で製造規模を拡大していくことを検討している。おそらく最も印象的なのは、同社がわずかな予算でこれらすべてを達成したことだろう。2019年に設立されて以来、同社は製品販売から得られる収入に加えて、Ukrainian Startup FundCRDF Globalからの8万5000ドル(約985万円)相当の助成金と、10万ドル(約1160万円)のエンジェル投資で運営してきた。

Mosquitterは現在、3つの異なるバージョンの製品を販売しており、家庭用の最も小さいバージョンは950ドル(約11万円)。ビジネス向けのバージョンは1150ドル(約13万3000円)で、公園や地方自治体などのより広い範囲を対象とした大型バージョンは2100ドル(約24万3000円)で販売されている。

画像クレジット:Mosqitter

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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