病理AIソリューション「PidPort」開発のメドメインが11億円調達、病理医不足をAIと画像認識で支援

病理AIソリューション「PidPort」を開発するメドメインは8月24日、総額11億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達となる。

写真中央がメドメインの代表取締役兼CEOの飯塚 統氏(提供:メドメイン、2019年11月に撮影)

なお同社の今回の資金調達で、同社への出資を目的とした専用ファンドをHike Venturesが組成し、病院経営者をはじめとした複数のリミテッドパートナーから調達するSPV(Special Purpose Vehicle)スキームを採用している。最近でSPVスキームといえば、HRテックのSmartHRがシリーズBの調達ラウンドでリード投資家のCoral Capitan(旧・500 Startup Japan)が採用した手法として有名だ。

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今回の調達ラウンドに加わったの以下の複数の病院グループ、ベンチャーキャ ピタル、事業会社、個人投資家。このスキームによる調達額が一気に増え、既存調達額の1億円を加えると累計調達額は約12億円となった。

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  • 病院グループ:福岡和白病院グループ ・国際医療福祉大学・高邦会グループ
  • 既存投資家:ディープコア、ドーガン・ベータ
  • 新規投資家:QTnet、Hike Ventures、みらい創造機構、個人投資家(非公開)

同社は今回調達した資金を、独自開発の病理AIソリューション「PidPort」の開発、デジタル化領域への設備投資、営業・開発体制の強化、マーケティング費用に投資する予定だ。 PidPortは2020年2月の正式リリース後、国内外で50施設以上の医療機関と共同研究を実施。共同研究施設および新規の施設への製品導入を進めてきた。

PidPortは、クラウドストレージ、遠隔病理診断、AI画像解析の機能を提供。病理診断用のプレパラートをデジタル化する「イメージングセンター」も社内を設置しており、病理診断の現場におけるさまざまな問題解決をメドメイン内でサポートできる体制も整えている。まだ実証実験段階だが、日本国内においてはAI解析に関する機能について薬事申請を進めており、将来的な提供も計画している。

同社によるとPidPortは現在、臨床的に症例数の多い、胃・大腸・乳腺・肺の腫瘍性病変における組織判定および、子宮頸部や尿の細胞判定(腫瘍性判定の有無)に対応しているとのこと。今後は膵臓・肝臓・皮膚などほかの臓器における腫瘍性病変を含む疾患などもカバーしていくだけでなく、人工知能の特徴を生かした疾患予測モデルを創出するための研究開発を進めていきたいとしている。

画像提供:メドメイン

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