瞑想アプリCalmが高齢者介護の負担軽減を目指すヘルスケアテック企業Ripple Health Groupを買収

瞑想アプリ「Calm(カーム)」は、サンフランシスコに拠点を置くヘルスケアテクノロジー企業「Ripple Health Group」を買収することを発表した。買収の条件は公表されていない。Calmはこの買収により、メンタルヘルスケアでの野望を加速させるとしている。買収後、Ripple Health GroupのCEOであるDavid Ko(デビッド・コー)氏は、Michael Acton Smith(マイケル・アクトン・スミス)氏とともにCalmの共同CEOを務める。Calmの共同創業者であるAlex Tew(アレックス・テュー)氏は、共同CEOを退任しエグゼクティブチェアマンとなる。

2019年に設立されたRippleは、ユーザーと適切なヘルスケアの選択肢を結びつけ、差し迫った健康上の問題を解決するソリューションを構築している。1月に登場されたRippleの最初の製品2つは、社会の高齢化に焦点を当て、プロおよび家族内の介護者による介護の負担を軽減することを目指している。

Rippleのチームは今後Calmに加わり、Calmの既存の雇用者向け製品であるCalm for Businessに代わるCalm Healthの構築に注力する。Calm Healthは、ケアの範囲を超えてメンタルヘルスをサポートすることを目的としており、近日中にリリースされる予定だ。Rippleのチームは、現在のヘルスケア技術と統合し、安全かつ簡単に使用できるCalm Healthのソリューションを構築することを目指す。Calmは、介護の負担軽減を目的とした製品の開発も進めていくという。

Calmの新共同CEOとなるデビッド・コー氏は声明でこう述べている。「2019年からCalmのアドバイザーとして、カテゴリーと流通チャネルの両方を再定義し、メンタルヘルスの未来を開拓するチームの能力を目の当たりにしてきました。Calmは、世界をより幸せに、より健康にすることをミッションとしています。Rippleのチームとテクノロジーにこれ以上ぴったりな会社はありません。同社に参加できることを信じられないほど光栄に思います。マイケル(・アクトン・スミス)と一緒にCalmをヘルスケアに導入することを楽しみにしています」。

Rippleに入社する前、コー氏はデジタルヘルス企業であるRally Healthの社長、COO、取締役を務め、消費者のケアへのアクセスを容易にすることを目的としたモバイルソリューションを開発した。

Calmの共同創業者で共同CEOであるマイケル・アクトン・スミス氏は、声明でこう述べた。「デイビッド(・コー)のビジネス感覚、卓越した運営能力、ヘルスケア企業のスケールアップの実績は、Calmが新たな事業に参入し、カテゴリーの未来を形成していく上で、非常に貴重なものとなるでしょう」。

Calmによる買収は、同社が新機能「Daily Move」を発表し、身体活動とビデオコンテンツに初めて進出してから数週間後に行われた。この機能は、ユーザーが体を動かすための簡単なエクササイズをガイドするものだ。Calmはこの新機能が、従来の瞑想を始めるのが難しいと感じている人々にとって、マインドフルコンテンツへのエントリポイントになると考えている。また、Calmは最近、最大6つのアカウントを含む「プレミアムファミリー」サブスクリプションプランを新たに導入した。この新しいサービスは全世界で年間99.99ドル(約1万1500)円で提供されており、個人向けのプレミアムプランは年間69.99ドル(国内価格6500円)だ。

Calmは、他の瞑想アプリとともに進行中のパンデミックの中で健闘し、ユーザー数が急増している。同社はこれまでに1億件以上のダウンロードを誇り、毎日平均10万人の新規ユーザーを獲得しているという。2020年12月、CalmはシリーズCラウンドで7500万ドル(約86億4000万円)を調達し、同社の評価額を20億ドル(約2304億円)に押し上げた。既存投資家のLightspeed Venture Partnersが同ラウンドをリードした。

画像クレジット:Calm

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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