社内ナレッジを“ブログを書くように”作成しシェアできるツール「toaster」のベータ版がリリース

2020年、従来のように終身雇用で同じ会社で働き続ける文化は廃れつつある。人材はより流動的になり、そして様々な職場で働くパラレルワーカーも増えてきている。

オフィスに来る必要もなく、社員全員がそれぞれのリモート環境で働いていると報じられているGitLabのような企業の登場も、新たな時代の幕開けを象徴しているかのようだ。

「仕事を見て盗め」、「背中を見て育て」、という時代ではなくなってきている。そもそもオフィスにいなかったり、1社あたり週に数時間しか働かない人もいるからだ。旅をしながら働くデジタルノマドも世界的に見ると増えてきているわけで。

そんな時代だからこそ、「業務マニュアル」、「⼿順書」、「ガイドライン」、「取扱説明書」などの業務プロセスをまとめた社内情報は、属人化を防ぐ上でも、より重要性が増してきていると言えるだろう。

だが、そのような社内情報は、今だに紙を使っていたり、オフィスで作られたワードやエクセルのファイルをドライブやイントラネットで管理しているケースが多い。どこに何の情報があるかがわかりにくく、かつ、更新されているのかも不明瞭だ。

「最近はSlack(スラック)やChatwork(チャットワーク)などのチャットツールの普及により、フローの情報は追いやすくなった。一方でストックの情報に関しては、適切な管理場所がない。情報が流れる一方で、固定の、静的な情報は探しずらい」

そう言うのは、ナレッジシェアの最適化を目指すツール「toaster」を開発するnoco(ノコ)で代表取締役を務める堀辺憲氏。堀辺氏はフォーム作成サービス「formrun」を開発し、リリースから約1年でエグジットを果たした人物だ。詳しくはTakuya Kimuraの記事を是非。

自称「Slackに代わるアプリ」のTwistが「Slackのカオスさを高い透明性に切り替えよう」、「Slackでは情報が失われてしまいます」、などと言って煽りまくっているが、まあ、一理あるだろう。そんなSlackのようなチャットツールと寄り添うような形で使えるのがtoasterだ。

toasterを使えば、業務マニュアルや⼿順書などの業務プロセスを、1、2、3といったステップで順番に書き出すだけで書式が統⼀化されたワークフロー形式で作成ができる。各ステップごとにコメントし質問ができるのも特徴的だ。共同編集ができ、社内全体への共有も、メンバーを限定したグループへの共有も可能となっている。ブログを書くように気軽にナレッジを作成しシェアできるよう拘ったそうだ。また、ナレッジが誰が何のために必要なのかが一目でわかる概要も表示される。

toasterには、アップロードした画像に直接、テキストや⽮印・図形を補⾜情報として追加できる「イメージエディタ機能」や、業界⽤語や専⾨⽤語、社内⽤語などを登録できる「辞書機能」などの機能も備わっている。

  1. レシピ編集画面(ステップ)

  2. イメージエディタ機能

  3. 辞書機能2

  4. はじめにガイド

堀辺氏は「一方的に誰かが作って、それを掲示板のように貼り出すのではない。メンバーがそれぞれ持っている知識、経験やスキルセットは違うはずなので、それを自らシェアし合う。GitHubのような世界観だ。皆で分かち合って改善を繰り返していくことによって、組織力をアップしていく」と話す。

「(従来は)誰かが作ったものを、一方的に何らかの形で配布し、完結していた。toasterの場合は、複数人もしくはメンバー全員が、何らかのナレッジを共有して、それを活用したりフィードバックしていく」(堀辺氏)

toasterは、2⽉14⽇の先⾏ベータ版の提供開始から3⽇で、ユーザー登録数100を突破。ベータ版の現在はフリーミアムでの展開となっており、月額800円のライトプランが用意されているが、シングルサインオンやIPアドレス制限などを設けたビジネスプランのようなものも展開していく。

ベータ版では実装されていないが、toasterでは、作ったものをただ共有するだけでなく、運用していけるようにしていく。ナレッジをタスク化し、管理者がメンバーの実行度や進歩を確認できる状態にした上で、未完タスクが自動でリマインドされるようになる。

また、今後はナレッジを外部に共有できる機能、PDFファイルとして残っている既存のナレッジをアップロードするだけでマニュアル化できるような機能、などが実装される予定。堀辺氏は、チャットツールを含む他のツールと連携できるようにしていきたい、と話していた。

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。