米、中国のハイテク商品に25%の関税発動へー制裁タイムラインを発表

米国と中国の貿易問題をめぐる協議はここ数カ月行ったり来たりしていてたが、ホワイトハウスは中国のハイテク製品に関税を課し、また中国からの米国企業への投資にも厳しい制限を設ける方針を明らかにした。

今朝(米国5月29日朝)のホワイトハウスの発表によると、トランプ政権は“産業的に重要な技術”を含んでいる500億ドル相当の中国のハイテク製品に対し、25%の関税を課す。これは、中国による知的財産権の侵害に関する調査を経て発動された通商法301条に基づくものだ。どのような製品を対象とするかはこれまで検討が続いていたが、最終リストは6月15日に発表される。今回の課税は、今年初めに発表された鉄鋼とアルミニウムへの関税とは異なるパッケージとなる。

中国企業による投資の制限については、その内容を6月末までに公表する。知的財産の保護を巡る世界貿易機関(WTO)への提訴はそのまま続行する。

こうした発表は、関係当局向けに行われるべきものだろう。とういうのも、ホワイトハウス内部、そして中国政府との一連の交渉における最新カードにすぎないからだ。

米国が産業保護を目的に中国に対しどれくらい強硬に出るか、ホワイトハウスはさまざまな意見で揺れていた。Steven Mnuchin財務長官のような財務分野の人は柔軟な策をとるべきとしているのに対し、通商代表部のRobert Lighthizerや国家通商会議ディレクターのPeter Navarroは攻めの姿勢をみせている。こうした人々がそれぞれの考えを大統領に吹き込み、案が出ては消えるという状態だった。

外に目を向けると、米国と中国は貿易を巡り長い多次元的交渉を続けてきた。米国サイドでは、クアルコム社のNXP買収の承認問題、中国サイドではZTEへの輸出再開の許可問題などを抱える。これらの交渉はまだ継続しており、数週間内に何らかの声明、または報復措置などが発表されることが見込まれる。

企業やスタートアップにとって、これらの関税方針は不安定かつ非常に不透明で、対応が難しい。新方針が発表されれば製品のロードマップやサプライチェーンを見直さなければならず、今後の新商品の展開も難しくなる。テック業界では誰も関税など求めていないが、関税が設けられると考えるのが賢明だろう。

より難しいのは、発表が迫っている投資制限だ。通常、ベンチャーキャピタルのラウンドはデューデリジェンスのために数週間かかることを考えると、新投資規制の発表のデッドラインは6月末となる。シリコンバレーの創業者たちは、ワシントンから投資制限の通達が届くことを見越し、中国のベンチャーキャピタルの資金受け入れを躊躇していることだろう。

私は以前、国家保障と中国ベンチャーキャピタルを関連づけて考えるのは大げさだと書いた。しかし結局、トランプ政権は新ルールを導入しようとしている。新たな情報がない限り、中国関連企業からの投資はなくなる。貿易をめぐって、米国と中国は駆け引きを続けており、さらなる展開が予想される。

イメージクレジット:JACQUELYN MARTIN/AFP / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。