アメリカでカーシェアリング事業を展開するGetaroundは4月、パリに本社を置くDrivyを3億ドル(約325億円)で買収したと発表。Getaroundは2018年8月、ソフトバンク主導のシリーズDラウンドで3億ドルを調達したと発表していた。Getaroundはトヨタの未来創生ファンドからも出資を受けている。
Drivyの買収により、Getaroundは欧州にも本格進出した。500万人ものユーザーを抱え、アメリカとヨーロッパの300を超える都市でサービス展開されるグローバルな企業へと成長を遂げたGetaroundだが、同社の創業者でCEOのSam Zaid氏いわく、Drivyの買収は「アメリカとヨーロッパだけでなく、グローバルを狙える企業になるためのステップ」。
「正式なアナウンスはできない」が、人口の多さなどを考えると、次に展開するエリアがアジアである可能性は「高い」、とZaid氏は話し、日本に関しては、「東京は我々にとって興味深い市場だ」と加えた。Zaid氏は自ら日本に訪れたこともあり、その際には価格設定や車両の配置エリアに疑問を感じたのだという。
Getaroundはp2pのカーシェアリングサービスを展開している。同社は米TechCrunchが開催したDisrupt 2011のピッチバトルの優勝社だ。GetaroundではGetaround Connectと呼ばれる「コネクテッド・カー」テクノロジーにより、スマホで利用可能な車両を探し、鍵を開ける。車両のオーナーから鍵を受け取るなど無駄なアクションは必要ない。Drivyのサービス利用方法も同様だ。
Zaid氏いわく、Getaround最大の特徴は前述のテクノロジーによる「最初から最後まで即時性のある」ユーザー体験。加えて、同氏いわく、「大都市において、他社よりも利用可能な車の数が多い」そうだ。
競合のTUROは56ヵ国の5500以上の都市で利用することが可能できるなど対応エリアの広さは圧倒的。だが、同社ホームページによると、スマホで車両を予約し鍵を開けるTURO Goが利用できるのはロサンゼルスとサンフランシスコのみ。
Getaroundは「ライドシェア、電動キックボードからシェア自転車まで、消費者は『車の所有』から逃れるため、変わりゆくライフスタイルに適した、よりフレキシブルで低価格な選択肢を探している」と説明。
同社によると、現時点で、カーシェアリング市場はレンタカーと比較すると小規模。だが、2025年までには110億ドル規模に成長するポテンシャルがある。また、ヨーロッパはカーシェアリングの世界的な市場の50パーセントに値し、ユーザー数は2020までに1500万人以上、2025までには2300万人ほどの規模に増える見込みだという。