EC業界では現在さまざまな変化が起きている。多くの小売企業が実店舗からオンラインショップへの移行を画策するなか、逆にほとんどのECスタートアップは、できるだけコストを抑えながら、実店舗で消費者が商品を手にとって試せるような方法を模索している。そして、スタートアップとはあまり縁がないように思われる企業が、彼らに救いの手を差し伸べようとしている。その企業とは、アメリカで300店舗以上のショッピングモールを運営するモール界最大手のSimon Mallsだ。
同社は『The Edit』と呼ばれる「スケーラブルな小売プラットフォーム」をローンチ。これは簡単に言えば、ECスタートアップが自分たちの商品を陳列できるポップアップスペースのようなものだ。
創業間もないECスタートアップのための手頃でフレキシブルなポップアップスペース、ときいてショッピングモールを思い浮かべる人はほぼいないだろう。通常ショッピングモールに出店するには、長期契約を結び、高額な賃料を支払わなければならないため、スタートアップが出店するのはほぼ不可能だ。さらに各テナントのスペースは予め決まっているため、一旦契約を交わした後にスペースを拡大・縮小することもできない。
しかしSimonは、ECスタートアップ用の共有スペースを作ることで、これらの問題すべてを解決しようとしている。彼らのサービスを利用すれば、スタートアップは従来のショッピングモールよりも大幅に低い賃料で、ネットショップだけではリーチできないような消費者ともつながりを持てる。またThe Editのサービスには、什器やディスプレイはもちろん、セキュリティやマーケティングサービス、さらには店舗内のBGMまで含まれており、利用料も1番安いプランが月額500ドルとなっている。
契約期間は1〜6ヶ月に設定されており、従来のショピングモールとの標準契約期間である10年に比べるとかなり短い。
もしもこの試みが成功すれば、Simonはアメリカ中のショッピングモールに同じようなスペースを構えるようになるだろう。テナントが決まらず空いたままになっているスペースの有効活用という狙いもあるのかもしれない。また、代わり映えしない地元のモールに飽きてしまい、何か新しいものを求めている消費者にとっても、The Editは魅力的な存在として映るだろう。
先週には、ニューヨークで2番目に大きいショッピングモールRoosevelt Fields(市内から車で45分ほど)に、トライアル用のスペースがオープンした。ファッションや食品、テクノロジーなど、多彩な出店企業の顔ぶれは、こちらから確認できる。
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(翻訳:Atsushi Yukutake)